教育福島0022号(1977年(S52)07月)-016page

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(3) 体力つくり推進校の実践研究

「児童生徒の体格に相応した体力の向上を図るために、学校教育活動全体及び、地域社会との関係をとおして、児童生徒の体力つくりを促進し、合わせて環境に応じた体力つくりの具体的な方法を研究実践する」。ために、文部省が昭和五十一年度より設けたのが、体力つくり推進校の制度である。

本県では、現在小学校二校、中学校三校、高等学校一校が文部省より指定を受け、

ア) 体育、スポーツ活動からの体力の増進

イ) 保健、給食面からの体力の増進

ウ) 家庭及び地域社会における、スポーツ活動をとおしての体力増進

エ) ア)イ)ウ)の活動についての評価

の内容について、総合的、一体的に研究実践を進めている。

次に、文部省体力つくり推進指定校実施要項中より、「体力つくりの推進手順についての留意事項」を掲げるので参考としてほしい。(左図)

◇ 推進校の研究計画

次に、小中学校の研究テーマと、研究計画の概要について参考例をあげておく。(下図)

 

図2 体力つくり推進手順

1. 研究テーマの設定

イ 児童生徒の健康の増進や体力の向上にとって、特に問題となる点に対する方策を明らかにできるような具体的なテーマとする。

ロ 教科以外のものをテーマにする。

2. 研究体制の確立

イ 学校教育活動全体の中で体力つくりを進進するための時間を、無理のないように設ける。

ロ その時間に誰が、どの分野を担当するか指導体制を確立する。

ハ 天候等を考慮にいれた年間スケジュールを詳細にたてる。

3.研究計画の立案

イ テーマに即して年次的に計画する。

ロ 計画は総合的に計画し、個々の計画も総合的な計画の一環として位置づける。

ハ 指導計画・実践計画・評価の一貫性を考慮して計画する。

4. 研究計画の実践

(1) 児童・生徒の健康・体力の実態のは握

計画の実践に入る前に、健康診断、体力運動能力テスト、身体検査、健康観察を行い、児童・生徒一人一人の健康・体力の実態をは握する。

(2) 児童生徒の健康・体力に応じたプログラムの策定

上記から知り得た児童生徒の発達段階や健康度に応じていくつかのグループ編成をし、グループに見合ったグループ活動(継続的に実践できる活動)を実践させる。

(3) スポーツ活動の実践には必ず到達目標を設けること。

グループごとのスポーツ活動の実践においてはそれぞれの運動に到達目標を設け、目標に達したグループは次の段階に進むようにする。

5. 評価

各の活動ごとに評価の観点を明確にしておく。その観点は次の二つの観点から行うようにする。

イ 指導計画やその運営などに関すること。

ロ 児童生徒の体力の向上や体力つくりについての態度、理解、能力などに関すること。

実践活動においては一段階ごとに上記の評価を行いながら次の段階に進むようにする。

6. 年度ごとの成果のは握

初年度次の体力つくり推進計画が終了したときは4の(1)の調査を行い、その結果を一人一人の資料に記入するとともに、内容を細かく分析して体力つくりの成果を具体的には握し、評価する。それに基づいて次年度の推進計画に入るようにする。

以上の体力つくり活動を推進するに当っては、次のことも併せて実施し総合的に体力つくりが推進されるようにすること。

(1) 地域社会及び家庭において

(イ) 少年スポーツクラブ活動へ参加させるようにする。(特に運動部参加者以外)

(ロ) 父兄に啓蒙し、家庭における体力つくりを実践させる。(特に夏休み等の休日において)

(2) 保健・給食面において

(イ) 体力つくり推進にとって必要な保健指導・保健管理・安全管理等についてじゅうぶん実践計画の中にもりこむ。

(ロ) 体力つくり推進にとって必要な食生活(学校給食も含める。)の正しいあり方についてじゅうぶん指導し、体力つくりの推進を図る。

(注意事項)

1. 児童生徒が自主的に体力つくりの活動を実践するよう指導する。(体力つくりの生活化を目ざして)

2. グループで体力つくり活動の出来ないものについても、その児童生徒の実態に合わせて個々に指導するようにする。

 

図3 研究テーマと研究計画の概要

(小学校) 都道府県名 福島県

学校名 福島県いわき市立平第一小学校 校長名 植田文夫

住所 福島県いわき市立平字揚土5 電話番号 0246-23-1101

研究テーマ 体力つくりの日常化を図る指導

研究テーマ設定の理由

学校教育活動全体及び地域社会・家庭との関係をとおしてすすめる体力つくりの指導は、児童の生活全般にわたって考える非常に幅の広い指導である。そして、それらを総合的・一体的に推進する研究は、いわゆる体力つくりの生活化・日常化を図る指導の研究であろうと考え上記のテーマを設定した。

3年間の研究計画の概要

昭和51年度

1. 研究の計画つくりをする

○ 校内における研究趣旨の共通理解を図る

○ 体力つくりに関する諸調査をし実態をは握する

○ 研究のテーマを設定する

○ 研究の内容をおさえる

○ 研究の組織をつくる

2. 指導計画つくりをする(指導の実践をとおして作成をする)

○ 体育教科の指導計画を改善し、体力向上を重視した指導計画を作る

○ 特別活動の指導計画を改善し、体力向上をめざした指導計画を作る

○ 保健、給食の指導計画を改善し、体力向上を図る指導計画を作る

○ 課外における生活指導の改善をし、体力向上をめざす指導計画を作る

○ 地域社会及び家庭との協力による、体力つくりの計画をたてる

3. 研究推進の反省と指導計画の検討改善をする

昭和52年度

1. 指導計画にもとづく指導の実践をする

○ 体育教科指導の充実

○ 特別活動の指導における体力つくり指導の充実

○ 保健・給食指導での体力つくり指導の充実

○ 課外の体力つくり指導の充実

○ 地域社会及び家庭との協力による、体力つくり指導の充実

2. 指導実践の反省と指導計画の改善をする

昭和53年度

1. 体力つくり指導の改善強化をする

2. 研究を反省しまとめをする

○ 諸調査をし分析検討する

○ 研究推進について反省し、まとめをする

3. 体力つくり指導の継続計画を作る

 

(中学校) 都道府県名 福島県

学校名 福島県北会津郡北会津村立北会津中学校 校長名 川口日吉

住所 福島県北会津郡会津村大字伊和保甲2107の1 電話番号 (024258)3322

研究テーマ 農村地帯における、生活をとおした生徒一人一人の体力つくりの実践

研究テーマ設定の理由

農村の機械化は児童生徒の勤労意欲を喪失させ、さらに車社会をふくむ農村生活様式の近代化に、地域、児童生徒ともに日常生活における体力つくりの関心度が低く、学校体育にのみ依存している現状である。この実態を考察するとき、生徒一人一人が現状を分析し、その生活の中に体力つくりの日常化を考えさせたい。それを具体的に進めていくためには、まず生徒に自分をとりまく環境の実態をは握させ、その環境で日常生活はどうあるべきかを考えさせるとともに、自分の体力を知り、それに応じて生徒相互間の協力の下、健康安全の生活態度の功長と、体力つくりについての目標をみつけさせ、自主的・自発的に実践、体力の向上を図ることができるよう全教育活動に位置づけて総合的にとりあげ、体力つくりが、生徒一人一人の新しい生活習慣ととて定着し、生がい健康人として、生活に体力つくりが有機的につながりができるよう本テーマを設定した。

3年間の研究計画の概要

昭和51年度

1. 研究体制の確立と研究計画の立案実践

2. 個人の運動能力のは握

3. 教科体育の指導についての検討

4. 総則第3体育の検討と体力つくりとの関連

5. 施設の創意くふうと活用方法の考察

6. 保健活動と栄養及び安全の自己管理

7. 地域社会への体力つくりの理解と啓発

8. 勤労の必要価値と体力との関連性の理解

9. 研究推進の反省と次年度への構想

昭和52年度

1. 個人の運動能力と体力向上のための実践

2. 教科体育の充実

3. 総則第3体育の充実

4. 課外活動と体力つくりの関連を図る

5. 施設利用の日常化と体力向上

6. 保健活動と栄養及び安全の自己管理と、自己体力つくりの体制化

7. 地域スポーツ関係団体の設置促進と参加の推進

8. 家庭及び学校生活での勤労作業と体力つくりの実践

9. 2年目研究推進実践の反省と次年度への構想

昭和53年度

1. 生徒一人一人が体力つくり実践の生活化

2. 教科体育で習得した技能及び体力を日常生活で習慣化

3. 総則第3体育で習得した内容を日常生活で習慣化

4. 課外活動の自主的・自発的参加による体力並びに精神力のかん養

5. 健康生活について自己管理と習慣化

6. 施設活用による体力向上の日常化

7. 地域体育行事の積極的参加と余暇の体力つくり推進

8. 意欲的な勤労作業と体力つくりの有機的関連

9. 研究推進結果の整理

 

 

 


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