教育福島0022号(1977年(S52)07月)-018page

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○ 継続的に実施されるような内容を設定すること。

○ 個人差に応じ、一人一人への配慮をすること。

○ 生活化への発展を考えて、指導法をくふうすること。

などを基本的条件として考慮することがたいせつである。

◇ 施設用具の充実

体育活動と関係の深い施設用具のくふう改善は、各学校が自主的に行うことがたいせつである。用具の中でも、小型用具に属するようなものが、案外に指導上役に立っているものである。また、小型用具は作れるものも多くあるので、自作することも大事である。さらに、他校で作った用具で、利用価値の高いものは、進んで採用したいものである。

次に、運動場の使用と管理についてであるが、広い運動場をもつ学校は、その広さなりに使うくふうが必要である。いかに広くとも、児童生徒たちの遊びや活動が、きわめてせまい一部分に限られていたのでは、もったいないことである。また、広い運動場では、立体的な施設がいろいろくふうされてよいが、狭い運動場では、いたずらに運動場の平面積を減少させるような施設をふやすことは、さけるべきであろう。

◇ 体力の充実向上

体力つくりの基本的課題は、運動や遊びの時間、量をできるだけ多くすることであるが、これは単に学校だけの課題ではない。

学校の体力向上策は、家庭の啓蒙指導へと発展しないと、その成果は期待薄となってしまう。

体力つくりは、長い目で見、継続して実施することがたいせつである。そのための基本的な条件として、

○ 体力つくりは、興味が持てる楽しい運動で。

スポーツ選手の激しいトレーニングは決して楽しいものではないが、速くなる、強くなる、という目先の目標がはっきりしているので、歯をくいしばってでも努力するが、学校の全児童生徒を対象とした体力つくりは、そんなわけにはいかない。長続きのするもので、しかも興味のもてるものが望ましい。

○ 正しい方法や態度を身につけ、将来に役立てる指導をする。

先生に教えられるからやるのでは将来性がない。一人一人の、自主的自発的な態度が必要である。

これらの条件をふまえて、長く継続した体力つくりが、学校生活に定着するよう努力することがたいせつである。

(2) 体力向上三か年計画

県教育委員会の重点施策の一つに、体育・スポーツの振興がある。この機会にその具体策の一つとしての「第二次福島県児童・生徒の体力向上三か年計画」を掲げ、県下全教職員の理解と、それに基づく、積極的な指導を望みたい。

(下図参照)

 

第二次福島県児童生徒の体力向上3か年計画

1. 趣旨

次代をになう児童生徒の教育をいっそう充実するためには、調和のとれた人間形成をめざすことが必要であり、特に人間生活の基礎となる体力の増強を図ることが、きわめてたいせつである。

ところで、本県の児童生徒の体力の実態を、スポーツテストの結果からみると、徐々に向上しつつあるが、全国平均と比較し劣る種目もあり、がならずしも「体力向上3か年計画」による指導の成果がじゅうぶん上がっているとはいえない。

したがって、このことを全県的な問題として総合的にとらえ、現状を分析して問題を明確にするとともに、運動処方ならびに指導法の研究もあわせて推進し、総力を上げて児童生徒の体力を、今後3か年間で全国平均を上回るようにしようとするものである。

2. 実施期間

昭和51年度より、昭和53年まで(3か年間)

3. 対象

福島県内の小学校・中学校ならびに高等学校

4. 実施内容

各学校においては、「体力向上3か年計画」(昭和48年度〜50年度)の実践結果を総合的に分析し、次に示す年次計画を参考にしながら、自校の「第二次体力向上3か年計画」を立て実践する。(エについては小・中・高校とも、全校実施すること。)

(1) 第1年次

各学校では自校の実情により、次の中より適切なものを選び実施する。

ア 児童生徒の体格・体力の実態をは握する。

イ 児童生徒の健康安全に関する実態をは握する。

ウ 諸調査の結果を基にして、体力向上の具体策を立て実践研究に努める。

エ 県下全小・中・高校は、スポーツテストを9月末まで実施する。

(2) 第2年次

ア 第1年次の実践結果を分析し、計画、課題の再検討をし、実践研究を進める。

イ 実践をもとに体力向上に関する校内研修会を開催する。

ウ 第2年次の成果についてたしかめ、次年度の課題を設定する。

エ 県下全小・中・高校は、スポーツテストを10月末までに実施する。

(3) 第3年次

ア 第2年次の結果から実践方法を再修正して、実践研究を深め、体力の向上に努める。

イ 県下全小・中・高校は、スポーツテストを10月末までに実施する。

5. 体力向上を図るための留意事項

(1) 総則「体育」について

ア 総則「体育」の推進にあたっては、具体的な目標を定め、指導や活動の機会、内容方法等を明確にして実践する。

イ 全職員の共通理解を深め、学校をあげて実践研究を推進する。

ウ 児童生徒一人一人に、健康と体力の向上について、その必要性を理解させるとともに、実践にあたっての基本的事項を指導する。

(2) 教科体育の指導について

ア 研究課題を設定し、計画的、継続的な校内研修会を開催し、指導者の資質の向上をを図る。

イ 各学校の児童生徒の実態に基づき、学年別、男女別等の到達目標を定めて指導する。

ウ スポーツテストを計画的に実施するとともに、結果の資料を活用し、意欲的に学習させる。

エ 指導法の改善を図るとともに、施設、用具の整備に努める。

オ 運動技能の向上とともに、精神力の強化を図る。

(3) 特別活動(各教科以外の教育活動)

ア 体育的行事にあたっては、その趣旨を明らかにし、内容、方法等をよく検討し、効果的に実施する。

イ 体育クラブ活動の実施にあたっては、児童生徒の能力を考慮し、基礎的運動能力の向上に努める。

ウ 身体的に障害のある者、虚弱者等の運動の実施については、その状態に応じて適切な指導をする。

6. 調査

本計画の趣旨に基づき、県下各学校の計画、実践、結果等の実態をは握し、今後の資料とするために、次の調査をする。

(1) 総則「体育」の計画と、実施状況について調査をする。 (昭和51年7月下旬)

(2) 「第二次体力向上3か年計画」に関する調査をする。 (昭和51年9月下旬)

(3) 学校行事の中の、体育的行事、体育的クラブ、運動部に関する調査をする。 (昭和52年4月下旬)

(4) 県下の各小・中・高校のスポーツテストの結果の資料を、毎年11月20日までに提出してもらう。

(5) その他

 

 

 


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