教育福島0022号(1977年(S52)07月)-040page

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図書館コーナー

 

簡単な図書の整理の仕方(1)

 

図書の整理と言うと「分類」ということになり、専門的知識を要することになり、敬遠されがちですが、なるべくわかりやすくのべることにします。

 

一、なぜ整理が必要か

 

〈少ないうちから整理する〉

公民館図書室等ではせいぜい冊数が三〜四千冊程度ですから、特に整理をしなくても、並べて利用してもらうことが先と私どもも話しをし、またそう考えることも当然です。しかし、買った順に並べておくと、小説も生活の本も、農業の本もばらばらになり、数千冊となると、見るにも、探すにもむだな時間がかかります。ですから少ないうちから整理した方がよいのです。

〈役に立たないものは処分する〉

冊数が多ければよいということではなく、整理の出発点は、ほんとうに役に立つ本だけを選び出し、古い本、おもしろくない本等が多くては、新しい本を少々買っても目だたないばかりか、新しい本も見られなくなるものですし、本の寿命も今は非常に短く、一般的なものは四〜五年、やや参考的なもので一か年といわれています。ですから役に立たない本の整理のために、むだな時間を費やすよりは処分することです。

〈整理の要点〉

図書原簿に記入することが第一段階で、つぎがやっかいな分類です。分類は歴史の本、農業の本、生活の本、小説の本など、同じ種類の本を一か所に集めて書架に並べることです。この分類した本を、その順序どおり記入したもの(若しくは配列したもの)が、書架目録(又は分類目書)です。図書の整理には、本を受け入れた年月日順に記入した図書原簿と、分類別に記入した書架目録の二つが絶対に必要なものです。金銭出納簿と仕訳簿とによって会計の処理が完全に行われるのと同じわけです。

 

二、どんな分類をしたらよいか

 

公民館等でいちばん多くなるところは、文芸もの、時事的なもの、生活に役立つもの、趣味娯楽に関するものなどが考えられます。しかし、住民の知らなければならない問題は、国内、国外の時事問題、政治、経済、教育、家庭、通俗科学、農業技術、美術、音楽等いろいろあります。これらをどんな順序に並べたらよいかとなると、三つにしようか四つにしようかと迷うものです。

〈学校図書館、公共図書館の分類〉

戦後の小・中・高校で学んできた人は図書の利用の仕方を習い、全国共通の分類表によって、自分の必要な本を探しだすことができます。ですからこの「日本十進分類法」(NDC)の簡単な分類表を使えばよいわけです。

 

三、NDCの使い方

 

〈NDCの十区分〉

NDCの10区分表
0 総記
1 哲学
2 歴史
3 社会科学
4 自然科学
5 工学工業
6 産業
7 芸術
8 語学
9 文学

 

この分類法では、本をまずつぎの十に大わけします。哲学、歴史、社会科学、自然科学、工学と工業、産業、芸術、文学のように、内容のはっきりしているものは、一から九までの番号を与えます。百科事典や総合雑誌(文芸春秋、婦人雑誌、週刊誌)のように、一冊の中に社会問題も、生活も、農業も、美術も、小説ものっている本や雑誌は、この一〜九のどこにも分類することができません。このようにいろいろなことがらを、総合的に取り扱ってある本や雑誌を分類するところを、総記と名づけ、これに0の番号を与えて、いちばんはじめにおくのです。ですから0の総記から九の文学までが、NDCの基礎になる大分類です。そしてすべての本や雑誌は、必ずこの十のうちのどこかに分類しなければなりません。

全部で二〜三百冊程度ならこの十に分けた程度でも、買い入れた順に並べておくよりは便利でしょうが、これだけでは、一の哲学のところにはどんな本がはいるのか、わからないものが出てくることになります。

〈さらにくわしく分類するには〉

たとえば、産業の本が五十〜百冊にもなりますと、その中には農業経営に関するものや、稲作、果樹、養豚に関するものなどがあり、六の産業をさらにまた十に分けることになります。このうち「交通」「通信」の部があまりないなら使う必要はありません。

 

 産業の区分
60産業
61農業
62園芸・造園
63蚕糸業
64畜産・獣医
65林業
66水産業
67商業
68交通
69通信

 

 

 


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