教育福島0023号(1977年(S52)08月)-006page

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特集

 

特集

 

進路指導の充実

 

まえがき

子供から成人への過渡期--人々はこの年代において子供っぽい自己と大人びた自己とが共存していることに気付き、悩み、考え、学び、そして新しい価値への開眼が始まる。それは自律的な生活意欲のめざめとなって現われ、やがて生活計画の樹立へと向う。このような成長過程にある生徒たちに対して、学校教育がやれること、やるべきことは、どのようなことであろうか。教師は、人生の先達として、どのような指導の手を差し伸べることができるであろうか。

価値観が多様化し、急速に変化してゆく社会の中にあって、その方向を予見することは、はなはだ困難になっている。それだけに、学校教育に今日求められているものは、単なる知識や技能の習得のみに終わる教育ではなく、変化する社会への適応性や、よりよい社会の建設に必要な自主性をもった国民の育成である。

「人間として望ましい生き方を自覚させ、将来の生活において自己を実現する能力を育てる」--この進路指導の目標は、学習指導や生活指導とも密接に結びついており、全校的な共通理解と協力体制のもとで、推進してゆく必要があろう。

 

中学校における進路指導の進め方

義務教育課

 

進路指導は、生徒自らが自己の進路について考え、個性に応じて進路を選択したり、更に将来の生活において職業的自己実現が図れるような、能力や態度を育てることを目的としている。

学習指導要領では、総則の配慮事項で「学校の教育活動全体を通じて、個々の生徒の能力・適性等の的確なは握に努め、その伸長を図るように指導するとともに、計画的、組織的に進路指導を行うようにすること。」と示している。

中学校の進路指導に関する問題点やその重点性については、昨年、本誌七月号特集「進路指導と生徒の実態」で述べてえるので、今回は、前述の目的配慮事項をうけて、「職業観の育成」組織的な指導という点から「進路指導主事と学級担任の役割」、「系統的な進路指導」の三点について述べることにする。

 

一、職業観の育成について

 

昭和四十八年に文部省から出された「進路指導の現状と課題」によれば、中学校の学級担任教師が、進路指導の中で特に重点を置いている指導事項として、「人生観、職業観の指導」を第二位

 

 

 


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