教育福島0023号(1977年(S52)08月)-007page
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にあげている。(表1参照)ところが中学校生徒には、それがじゅうぶんに受けとめられてはいない(表2参照)ということは、それだけ職業観に関する指導のむずかしさを物語っている。
ここでは、中学校における職業観の育成を図るための指導のあり方について考えてみたい。
1、職業とは
職業については、いろいろなとらえ方があるが、ここでは次のようにおさえておく。
「職業とは、人々がその個性に応じ協同生活のある部分を分担し、これに参加するとともに、これによって得る報酬をもって、その生活を維持向上する継続的勤労である。」(文部省・職業教育及び職業委員会の答申)
そこで中学校における職業に関する指導においては、当然のことながら「社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと」(学校教育法第二十六条の二)をねらいとして進めることが要求される。
2、職業における三つの側面
前述の「職業」について指導する場合、三つの側面が考えられる。
(1) 生計の維持を図る。
(2) 社会的役割を遂行する。
職業は、単に報酬を得るための手段だけではない。職業につき、それぞれの仕事を受け持ち、社会の一員としての役割を果たすことをとおして社会に貢献しているのである。しかも、その分担は一時的なものではなく、ある一定期間継続して行われるものである。
(3) 職業をとおして自己実現を図る。
職業に打ち込むことを通じて、自分の能力や個性を伸ばす。
3、職業観の指導
職業観に関する指導は、学校教育の全体をとおして行うことが必要であるが、比較的意図的に指導する場としては、社会科、道徳の時間、学級指導の時間があげられよう。ここで指導される内容は、それぞれの教科、領域で指導する内容の中心となることを明らかにし、相互の関連を図ることがたいせつである。
(1) 社会科では、
公民的分野の「職業と生活」の中で職業のもつ意味が取り上げられる。前述の三つの側面について学習するが、それらは、「職業の社会的意義」を理解させるという観点からの指導内容であることに注意したい。したがって、「生計の維持」、「社会的役割の分担」という二つの側面は主として社会科で指導し、正しい職業観の基礎を育てるようにする。
(2) 道徳の時間においては、
職業が人生にとってどのような意味をもっているか、人間の生きがいと職業生活とのかかわり合いという立場から指導内容を構成し、「人間いかに生きるべきか」の自覚に基づいて、正しい職業観の基礎を固めることがたいせつである。
(3) 学級指導においては、
進路への関心の高揚、進路の明確化とその吟味、適切な進路の選択等の指導に際して、望ましい職業観を指導することが必要である。ここでは、前述の三つの側面が、社会科、道徳の時間での指導と関連づけながら取り上げられようが、進路の選択に結びつく職業観として考えた場合、
○ 職業の社会的価値を正しく理解させる。
○ それぞれの職業において「すぐれた人」とは、どのようなことを指すのかを明らかにする。
○ 職業に対する差別視を是正する。などはたいせつな指導内容となってくる。
また、一つの職業を一面からだけ見るのではなく、観点を変えてみることの指導も必要になってこよう。
例えば、
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学級指導における進路指導(荒海中)
表1 特に重点をおいている指導事項(学級担任)
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表2 進路指導の受けとめ方(中学校生徒)
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