教育福島0023号(1977年(S52)08月)-010page

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第二分科会(二十五名)

ホームルームにおける進路指導

ホームルームで、進路についての話し合いを進め、生徒の関心を高めさせるテーマの設定、また、そのテーマを展開する指導のあり方等を考える。

第三分科会(三十九名)

進路情報や個人資料の整備と活用

増大する進路情報を分析し整理するための組織と方法、また、それを個人資料と対応させて活用するための方法等について考える。

第一日の協議題や談話題の一部が各分科会に持ち込まれたこともあって、分科会テーマについての討議を深めるところまでゆかず、参加校の実状報告と情報交換に傾斜した。

第三日

・分科会報告

・講演

思春期の精神衛生と進路指導

福島県立医科大学・金子元久氏

精神科医としての専門の立場から大学生の無気力や留年、中高生の登校拒否や行動異常について、最近の具体的な臨床例をあげながら展開され、これらの要因なり社会的背景に及ぶ論を展開され、進路指導における生徒の心情面への配慮等、益するところが多かった。

 

二、参加者の反省記録から

 

(1) 全体協議について

・年一回全県的な情報交換を行い、協議をすることは非常に有意義である。

・各地区の活動報告は省いて、研究協議の時間を確保してほしい。

・進路指導主事一年生の小生にとっては、県進協の存在はたいへん心強く感じられた。

・現場において発生する共通的な諸問題を吸収し、解決の方向づけがとれるのは本協議会の力にまつところが大きい。

(2) 研究発表について

・立派な発表が続き、有意義でよい勉強になった。ただ、時間に追われて質疑の時間の少なかったのは惜しかった。

・就職指導関係ばかりでなく、進学指導関係の研究発表もほしかった。

・きめこまかい内容で非常に啓発され、帰校して早速取り組む資料もでき自信をもって対処できる。

・じゅうぶんな実践活動に裏付けられたお話で、迫力すら感じられた。

(3) 研究分科会について

・県進協の協議題・談話題が入り込んだため、本来のテーマがややおろそかにされたのは残念。

・ややもすると議題をはなれて、各校の状況報告となってしまった。

・各校それぞれいろいろな問題をかかえながら前向きに取り組んでいる様子が感じられ、とても有意義であった。

(4) 講演について

・講師もテーマもユニークで、有意義な内容であった。今まであまり気付かなかったことであり、よく考えてみる必要があると痛感した。

・青春期の高校生をとりあつかっているものとしては、大変に啓発される講演であった。

・一番むずかしい時期の生徒を預かっている(現に私も登校拒否の生徒を預かっている)ので、やはり処方箋(せん)の方にも及んでほしかった。

 

三、今後の課題に向かって

 

高校への進学率が年々高まる中で、目的意識を持たない生徒、進路希望のあいまいな生徒がふえているとの指摘は、分科会の討議の中でも聞かれた。このことから、高校への入学の時点から進路指導が始まるとする考え方が強まってきている。オリエンテーションにおける高校生活への適応指導に始まって、学習計画の立て方、人生観と職業観、類型や科目の選択等々--生活指導や学業指導との関連にも配慮しながら、きめ細かい指導計画を立てている学校がふえてきている。進路指導がともすると最終学年における就職や進学の選択指導にのみ傾斜しがちであったことに対して、このように進路指導を広く深くとらえることは、その本来の性格からみて、より望ましい方向であると言えよう。

昭和五十四年度からの共通一次テスト実施に向けてスタートした大学入試センター、不況慢性化に伴う企業の求人意欲低下、高学歴化傾向の中での高卒者と大学・短大卒業者の就職希望における競合関係等--高校生の進路問題をとりまく諸条件は変動して止まない。そのような中にあって、当面の進路選択にとらわれた指導ではなく、個性への探究心や人生直視の態度など、青年中期特有の精神面の発達にもじゅうぶん着目し、人生追究の態度や、更に進んでは初志貫徹の気力の育成にも及ぶべきであろう。

昨年十二月、教育課程審議会は、基準の改善について答申したが、進路指導については次のように述べている。「中学校及び高等学校における生徒指導特に進路指導については、その指導が計画的・組織的に行われるように努めるとともに、個性の理解や進路に関する知識等の整理・統合・深化が一層図れるよう学級指導及びホームルームの充実を図る」。

今後、各学校における創造的・継続的な研究と実践によって、一人一人の生徒の個性をは握し、その可能性を伸ばしてやるという、教育本来の目的に向かって一段と努力する必要がある。

 

 

 


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