教育福島0023号(1977年(S52)08月)-012page
と考える。このように産業界のニーズが明らかになれば、その期待にこたえる教育計画を立案し、日常の生徒指導のなかで、生徒の人格・態度の全面的発達を援助する教育実践が、全教員によって行われなければならない。
六、校内における諸調査の結果
本校では、現三年生に対し二年の二学期末に生徒の進路意識の実態を調査したが、確かな進路方向を持っている者が四七%、進路希望実現のために積極的に取りくんでいるとする者が五六%である。また、進路についての迷いや悩みについては自分の適性興味がわからないと答えたものが五五%もあり、自己理解のふじゅうぶんさが目立っている。
担当の先生との進路相談(喜多方商高)
七、進路指導で何を強化すべきか
過去の好景気時代は、進路指導を空白にした時代でもあったので、これを反省し、入学時より筋道をたてて指導を強化しなければならない。きびしい雇用情勢であればあるほど、生徒まかせにしたり投げやりの指導は、生徒を不幸にさせる結果となることは明らかである。強化すべき点としては、
1) 全教職員の生徒指導に対する共通理解と協力体制をつくる。
2) HRにおける集団指導、個人指導進路指導を強化する。
3) 生徒自身による自己理解と自己指導力、進路選択力を育てる。
4) 進路情報の収集整備、情報の適切な提供を行う。
5) 家庭との連携を深め、家庭におけるしつけ指導を強化する。
6) 中学校と高校との進路指導についての連携を強化し、中・高一貫性のある進路指導に取り組む。
等が考えられる。教育課程審議会では「進路指導が計画的・組織的に行われるように努めるとともに、個性の理解や進路に関する知識等の整理、統合、深化がいっそう図られるようHR指導の充実を図る」。とされているが、適切な方針であると思う。HR担任を中心とする進路指導を強化充実することによってこそ、生徒の幸福に結びついた生き方指導ができると思う。
工業高校における進路に関する調査
郡山北工業高校 菅野源吉
本調査では、進路決定にかかわる生徒の意識をは握するため、旧郡山西工業高校三年機械科、電気科、化工科の生徒を対象として調査、分析、検討した結果の一部を以下に紹介する。
一、調査目的
進路指導の計画はややもすると教師サイドを中心としてたてられ、一方通行的になりがちであるとの反省をもち現在の高校生の進路意識をある程度理解しての指導計画をたてればより効果的な指導を期待できると思い、この調査を実施した。
二、調査概要
(1) 調査実施日
昭和五十一年十二月十五日
(2) 調査対象及び有効回収数
調査対象有効回収数(%)
機械科 八十一名 六九(八五・二%)
電気科 七十九名 七一(八九・九%)
化工科 八十二名 八一(九八・八%)
(3) 調査時の進路希望状況
就職希望 二百一(内定率八一%)
進学希望 三十五
家事従事 五
(4) 調査の主な内容
進路決定の時期、進路に関する悩み、進路情報、選職について等
(5) 調査方法
アンケート式
三、調査時の背景
オイルショック以来、長期にわたる景気の沈滞が国民生活のあらゆる分野に影響を与え、家計消費生活は極度に圧迫を受け、政府の景気浮揚策にもかかわらず急発展は望めない状態では、人々の意識にも、価値観にも影響を与え、今回の調査にもその一端があらわれている。
四、調査結果と分析
(1) 進路決定の時期
高校生が進路を決める時期を知ることにより、進路指導計画のたて方や、指導のポイントのおき方の目安を得るためにこの項目を実施した。その結果約半数が高校生活の最終段階である三年になって決断している。したがって進路決定前の段階に重点をおいた指導計画をたてるべきである。
(2) 進路選定の相談
家族の人たちと相談 七八・四%
自分の意志で決定 一七・四%
表1 進路決定の時期