教育福島0023号(1977年(S52)08月)-013page

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同級生と相談 四・二%

家族構成の核化現象から約半数以上が長男の生徒で、進路決定にかかわる家族の意見の比重が大きくなっている。相談の結果、対立する意見であった者は一割にみたなかった。

(3) 進路決定までの不安や悩み

約三分の二に当たる六六・五%が不安や悩みをもっていた。残り三分の一が「あまり悩まずに決めた」と答えているのは、進路がある程度限定されてくる工業高校の特色とも考えられる。

 

図1 情報調査

 

(4) 悩みの原因

 

(4) 悩みの原因

適性がわからない 三四・八%

学力に自信がない 一九・〇%

就職か、進学かに迷い 一八・六%

「適性」「能力」に対する悩みの比率を合計すると半数以上を占める。「適性がわからない」ことは自己理解がふじゅうぶんだということになる。諸検査の資料を活用し、自己理解を深めさせること、進路相談を通じての悩みの解消に努める必要がある。

(5) 就職関係の情報調査

約八〇%の者は情報を調査して決めているが、残り二〇%弱の者が余り調べずに決めているのは就職後に問題の尾をひくことが予測される。事実、昨年度卒の就職者の意識調査の結果では会社に対する満足度は、約半数に当たる四九・四%の者が不満を抱いていた。

(6) 就職先を選ぶ時参考にしたもの

(一位に選んだもの)

求人票 五二・二%

家族の意見 一九・二%

(二位に選んだもの)

会社案内書 三二・三%

先生の意見 一九・二%

一位に求人票、二位に会社案内書で、ガイドブックや進路の手引き等は低い比率であった。家族や先生の意見が高率なのは注目すべきことであろう。

(7) 就職先を選ぶ時必要と思う情報

生徒がどのような選択意識をもっているかの調査で、最も必要とされている情報は「仕事の内容」である。入社後どのようなことをするのかが最大の関心事とも言える。学校生活とは異なる世界に入ろうとする者にとって、この仕事が自分にできるであろうか、自分に向いているかという不安を抱くのは当然のことである。このような不安を解消するためには、求人票に単に職種名を列挙するだけでなく、かなり具体的な仕事の内容の説明が必要であることを、求人企業側に知っておいてもらいたいものである。次に「会社の将来性」があげられているが、これは、長期にわたる景気の沈滞の続く世相では就職しようとしている会社に深い関心をもつのは当然のことである。また、必要とする情報と重視する順位とはほぼ同じ結果が得られた。

 

図2 必要と思う情報

 

(8) 就職先を選ぶ時優先する条件

 

(8) 就職先を選ぶ時優先する条件

就職先を選ぶ時、一つの要因で決定するのではなく、種々の事項を同時に検討した後、初めて決定するのだが、一方それらの事項にある程度優先順位をつけていると思われる。

(第一位に選んだもの)

希望する業種 三九・四%

希望する仕事につける 二〇・九%

希望する勤務地 一八・一%

好きな会社 一一・八%

希望する待遇や条件 一〇・二%

第一位と第二位に選んだものには大差はなかったが、第三位に選んだものの中で「家族が賛成する」が二〇・七%と高い優先度を示し、「家」を中心とした就職がかなり重要性をもち、通勤可能なら、待遇面に余りこだわらない傾向が見られた。

 

図3 希望と内定職業

 

(9) 希望と内定の職業

 

(9) 希望と内定の職業

大部分の者は希望どおり就職できたことになるが、希望どおりにならなかった原因は、地元に就職しなければならなかった、四五・八%と約半数を占め、「家」を中心とした就職傾向が見られた。

(10) 希望と内定の業種

希望業種では「電機・精密」「化学」「機械」が高い比率を示しているのは当該学科が設置されているからであるが、希望と内定との割合は六〇%であった。また、差の大きかったのは「卸・小売業」「サービス業」などであった。

(11) 希望職種

公務的な仕事 三八・〇%

専門技術職 三五・七%

技能生産工程 一五・二%

公務員志向の傾向が強いが、やはり技術職や技能職希望が多いのは、工業高校の特質であろう。希望職種として第一位に選んだ理由としては「性格・能力と仕事の内容が合っている」、「安定性がある」「やりがいがある」「自宅から通勤可能」などがあげられる。

(12) 就職希望地を決定する時の基準

(県内就職希望)

長男のため親と生活 二七・四%

希望会社があった 一一・三%

 

 

 


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