教育福島0023号(1977年(S52)08月)-030page
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研究実践紹介
児童の考えを生かした求積指導
白河市立白河第二小学校教諭 小林俊夫
一、はじめに
平面図形の求積学習は、ただ単に求積公式を覚え適用できれば、理解されたとして通過されがちである。
それでは、児童自身の手による解決の姿は望めない。
やはり、児童自身が必要に迫られ、自分の考えで既習事項を基に公式をつくり出し、やがて一般化された公式へと発展していく、その過程で数学的な考え方が育つのではないかと思う。
そこで、児童の考えを生かした、「台形の面積」の指導例について述べてみたい。
二、指導のねらい
台形の求積指導の順序には、おおよそ、次の二通りが考えられる。
(一) 平行四辺形を扱い、次に台形へその後、三角形へ入る順序。
(二) 平行四辺形から三角形へ、そして台形へ入る順序。
一般には、(1)の指導順序がとられているようであるが、私は、
○ 児童に多様な考え方で面積の公式づくりをさせるという意図から、(二)の方法を取れば、「台形の求積」は、平行四辺形、三角形に帰着して考えさせることができる。
○ 図形を移動したり、等積変形をすることによって、求積可能な既知の図形に変えられることに着目させて指導することができる。
○ 既習事項をじゅうぶん活用させ、発見的に公式を捕らえさせることができる。
以上、三項の理由から前記(2)の指導順序をとった。
次に、その指導の実際について述べてみたい。
三、授業の実際
(一) 実施学年 五年一組(三十八名)
(二) 単元名 四角形と三角形の面積
(三) 単元設定のねらい
本単元では、平行四辺形、三角形、台形などの基本図形、及び一般多角形の求積方法を理解させるのがねらいである。
しかし、形式的な公式の理解でなく、既習事項を基に、新しい図形の求積方法を生み出していくことが、たいせつである。
その方法として、図形を平行移動、回転移動、対称移動等の操作により、等積変形した図形を基にして求積方法を整理し、一般的な面積の公式を導き出させる。
また、その過程において、児童の創造性や数学的な考え方を育成する。
(四) 指導計画(総時数十二時間)
1) 事前テスト及び学習計画 (1)
2) 平行四辺形の面積 (2)
3) 三角形の面積 (2)
4) 台形の面積 (2)
○ 台形の求積方法…本時
○ 台形の求積公式の適用
5) 多角形の面積 (2)
6)まとめ (3)
(五) 教材のしくみと関連(略)
(六) 本時の主眼
平行四辺形、三角形の求積方法をもとに、台形の面積を求める公式を導き出す。
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図1 児童のノート
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図2 児童のノー卜(台形の変形と公式づくり)
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