教育福島0024号(1977年(S52)09月)-012page
He told me that you were coming. (三年)
などは、理解にとどめる程度に軽く扱うといったことも考えられよう。
また、場合によっては、ある教材は初出の指定学年では軽く触れる程度にとどめ、次年度の関連ある課で、時に補充教材も用いて習熟を図るということがあってもよいし、反対に次年度扱いの発展教材を初年度でまとめて指導するということも考えられる。例をあげると、「S+V(Be動詞以外)+C」の文型については、Cが「名詞」の場合が二年扱い、「形容詞」の場合が三年の扱いになっているが、これを二年の指導の際まとめて扱うということも考えられる。
He will become a good player. (二年)
The garden became beautiful. (三年)
このようにして、教材の取り扱い上における軽量が決まったら、それらの教材の反復・深化・拡大すべき箇所や時期を自校の生徒の学習状態に合わせて明示しておくことがたいせつである。
こうすることによって、一年の学習事項が三年においても定着しているということになろう。
二、表現力育成のため、言語活動の実証的研究を深める
今日の英語教育では、基礎的、基本的事項の定着をめざした言語材料の学習と、生徒が自分の意志で自分の発想で英語を話したり、書いたりする表現力の育成が望まれている。
(一) 意志を伝えるために欠かすことのできない基礎的・基本的事項の習得にはオーラル・アプローチをとおして積みあげられた言語習慣を身につけさせることが必要である。即ち、基礎的な言語材料の習得のためには、文型ドリルのような場での過剰学習になるまで練習を積み重ねなければならない。
(二) 表現力を育成するために欠くことのできない理解力−−「必要な内容を聞きとる力」や「書かれた内容を全体として読みとる力」--を身につけさせるために、日常の授業をとおした研究が望まれる。
話されたことが相手に理解されないかぎり、話すだけでは、コミュニケーションは成立しない。したがって話された言葉を聞いて理解する、いわゆる聴取理解の訓練がじゅうぶんになされなければならない。
話題の中心をとらえ、必要な内容を聞きとる訓練は、具体的には、内容の概要の理解度をたしかめるTrue-false Testや、要点を日本語、又は英語で限定された語数で書くテストなどくふうしたいところである。
また、生徒に対話文の一部分でも創作させたり、暗誦の上に立って発展した対話をさせる機会を設けたりすることも一方法と考えられる。
三、四技能が生徒に成立しているかどうかを知るため、たしかめと評価を適切に行う
評価は「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の四技能について調和をとってなされなければならないことは当然であるが、そのための前提条件として、言語活動が四技能のバランスの上になりたっていることが必要である。
(一) 「読むこと」や「書くこと」の評価は、従来筆記テスト等の形をとおしてかなりなされてきている。だが「聞くこと」「話すこと」の評価は、その困難さ故に、とかくなおざりにされがちで、この領域について、意図的・計画的に評価をおこなうくふうが必要であろう。
この評価は、音声を対象としなければならず、これは学期二・三回のテストによるのでは妥当性を欠き、やはり日常学習活動の一分野として行われ、それが積み重ねられていくのが望ましい。
(二) 「聞くこと」の評価を、音声を聞かせてそれに対する反応が、生徒にいかに表れたかをさぐり、次にその音声から理解したり、音声に指示されたことを動作で示させたり、書かせたりすることによって行うのも、一つの方法である。
(三) 「話すこと」の評価の一方法として、初期の段階では、英問英答の授業展開の中で一人一人の生徒に質問してその答え方によって、いくつかの段階にわけて(例えば三段階等)評価することも可能である。
学習段階が進めば、「二分間スピーチ」などで、自己表現をさせてみるのも一方法である。生徒の能力によっては即興でできることもあろうが、前もって題材等を与えたり、考えさせておいた方がスムーズに進みやすい。
その時、教師は簡単なチェック・ノー卜等を用意しておくと評価はいっそうやりやすくなるであろう。
いずれにせよ、ねらいは生徒の力を伸ばすことにあることを忘れず、評価のための評価に落ち入らないように留意しなければならない。
(四) 最後に評価の観点から日常の学習活動をふりかえってみると、生徒たちに聞くことの訓練を与えることが、まだまだ不足しているといわざるを得ない。
生徒たちは自分の考えを英語で表現したいという強い願望を持っていることが調査で判明しているのであるからこの領域にもっと多くの時間をさき、読む・話す能力を正しく評価し、この面で優れている生徒に動機づけをしたいものである。今回の指導要領の改訂でも「外国語を理解したり、表現したりする、言語活動の基礎を養うことをいっそう重視し、特に表現力の育成に配慮する」と改善の方向がうち出されており、この趣旨に沿うためにも、話すこと等の評価に意を用いねばならないであろう。