教育福島0024号(1977年(S52)09月)-016page
指導の個別化を重視した年間指導計画の一部 〈第1図〉
4) 目標達成の程度については、下位目標事項の到達度をポストチェックすることによって指導の個別化を図ったもので、A→B)→Cの順に達成度が高く、B)は標準の要求目標であって全員共通学習レベルと定めた。
5) 指導上の配慮・処置に関しては特に要求目標に到達できないものへの助言指導を中心に考慮したもので、同一学習コースの場合はB)がみたされれば、到達に差があってもやむを得ない。
(二) 実施後の分析・検討
前述のような考えかたにもとづき、学習指導を実施した結果、生徒の学習に対する興味と意欲にかなりの向上が見られた。この点で今後の学習指導に大いに期待が持てるが、今まで以上の教師の労力を必要とするのは当然である。
1) 行動目標の設定に際しては、本来の目標を詳細に分析検討し、偏りのない慎重な配慮が必要で、その中でも特に重点的に時間をかけて探究させるための計画的配慮が必要である。
2) 前述1)のねらいを達成するためには、じゅうぶんな器具、器材の量を必要とするので、この点については、学校の実情に応じ、あらかじめじゅうぶんに対応できる実質的な計画内容が必要である。
3) ペーパーによるポストチェックは、予想以上の時間がかかるため、その方法等について、効率化を図るための検討が必要である。
4) この計画のような個別化を重視する授業においては、授業形態とのかかわりが特に深く、指導案にもとづく周到な準備が必要である。
二、個別化を重視するための授業実践
保原高校 亘理尚寛
(一) 授業の実施に当たって
授業を実施するに当たっては、あらかじめ用意した年間指導計画をもとに指導案を作成することになるが、ここでは授業そのものについて概要を述べてみたい。
まず、年間指導計画(紙面の関係で省略する)は、前述一の作成方針と同様、「目標及び下位目標」その他を設けこの下位目標が本時の目標行動と一致するようにした。
さて、指導案の作成にあたっては、次の点に重点をおいた。
1) ある一つの課題を解決するために、生徒の能力の違いや、実験計画の違いなどによって、その到達度が異なることもあり得ることを予想して、到達の程度及び到達までのコースを三段階(学習活動の欄A、B、C系列)に分け、それぞれに応じて下位目標を設定した。
2) この場合、学習内容の程度、質には、差異があろうとも、下位目標にあげた事項についてはじゅうぶん到達するように考慮した。
3) 「学習形態」については、理科固有の「科学の方法を重視する」という立場で、各段階を記載し、探究の方法