教育福島0024号(1977年(S52)09月)-018page

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位置を確認できる(チェックポイントを設定してあるため)ので、目的意識をじゅうぶんに持って活動できた。

なお、指導案中のチェックポイントのパーセント表示は、その内容での通過率実数を記入したものである。(なおこの数値は、生徒がそれぞれ、現に学習している内容を見ればただちに確認できるものである。)

(三) 授業の評価と反省

現在までの授業を通じて、次の点でその効果と問題点を指摘することができる。

1) 一般にフローチャートを用いた指導は、生徒の学習行動を規制してしまう欠点を持つのであるが、今回実施した方法は、その欠点を取り除くために、生徒が、たどるであろうと予想される三系列のコースを設定した点が、従来の方式とは異なる点である。

このことは、生徒の科学的な思考にかなりの自由度を持たせると同時に、能力の多様化に対応しようとする配慮である。

一方、予想される三系列についての学習に対応するためには、かなりの量の教材研究の必要があるが、生徒全員の創造的活動を期待するとき、その必要性を痛感するものである。

2) 従来まで理科学習にあまり積極的でなかった生徒がよろこんで参加するようになったことは、大いに効果的であったが、そのために、理科を得意とするものが伸びなやむ結果を招くようになれば問題であり所期の目的は達成できない。そのため、Aの系列を準備し、じゅうぶんに学習が深められ、発展できるように配慮した。

3) 本校においては、今年度各教科から十八名参加による授業研究会を行っている。私のこの授業のあとで「目標にせまるための下位目標の設定にはじゅうぶんな教材研究の必要性が感じられる」「OHPなどの教育機器の使用に当たっては、その使用時期や効果について研究を要する」など、改善すべき点を指摘された。

今回の、物理の授業をもとに、今後本校における全職員による各教科の授業研究が深められるものと考える。

今後はより充実した授業のありかたを求めて努力したいと考えている。

 

教材を克明に分析して、目標を具体化し、その目標達成のための下位目標を準備し、最終目標に到達する道すじをより明らかにして授業に臨むことはきわめて重要である。

更に、この具体化された目標を、いかにして全生徒に定着させるかが重要であり、この段階でのは握の程度が、授業全体を支配するものと考える。

このようにして生徒・教師ともに、授業に見通しを持ちながら学習が展開され、具体的に行動(目標行動)として表れるとするならば、真の意味での探究的な思考力が定着するものと思われる。

前述の実践事例にも見られるように最終目標に到達するコース、時間、内容は、生徒(あるいはグループ)それぞれによって異なるものであろうとも、理科授業を終えて充実した成功感を味わえるような具体目標と、それにせまる下位目標を設定したいものである。

もちろん、これらの目標設定は、究極的には指導要領に示されている目標を満足するものであることは言うまでもないが、能力の多様化した現在、指導方法をより充実していくための研究がいまこそ要求されているのである。

 

保健体育

 

保健学習の単元は広範囲にわたっており、生徒の実態から学習内容を精選し、学習指導のくふうを図らなければならない。また、体育学習においても、体力・運動能力の格差、男女混成の授業展開等から、保健学習同様に指導法に創意くふうをしなければならない。

このようななかにおいて、生徒に、より理解できる授業、より喜びを知る授業、より技能・体力が向上する授業そして生徒が自主的活動ができる授業にするために取り組む姿が私たち教師の道である。

県内には、多数の先生がこれらのことについて研究・実践しているが、その中から「保健」の教育機器を利用し視覚・聴覚から学習に対する関心を深めさせている事例と、「体育」の男女混成の授業展開をとおして性差・能力差を意識させないで、学習効果をあげている実践事例の二つを紹介する。

 

男女同時の授業展開による体操「なわとび」の効果的な指導

喜多方高校 長谷沼敏子

 

一、はじめに

体操は健康の保持増進や体力づくりを直接のねらいとしてつくられた運動であり、そのねらいが達成できるように指導されなければならない。

また、健康の保持増進やおう盛な体力は現在より将来にわたって継続的に必要とされるものである。したがって、生徒の現在の体力・能力に応じて行わせるだけでなく、将来も興味を持って行えるようにすることが必要である。

 

二、設 定

本校は一学年七学級編成であり、一学級に平均五〜十五名の女子生徒を含む混成授業形態をとっている。

これは、コース別学級編成と施設設備等の関係から女子のみの授業展開が困難なためである。

このような状況のもとで、男女混成の授業展開を効果的に実施するために

 

 

 


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