教育福島0024号(1977年(S52)09月)-020page
どんな教科でも事前に周到な準備が必要であることはいうまでもないことであるが、一週一時間の保健学習を内容の濃いものにするためには、この事前の準備に努力しなければならないと考える。
本校の授業において教育機器として利用しているものには、OHP、十六ミリ映画、八ミリフィルム、スライドカセットテープ、VTR等があるが、これらの組み合わせ利用も行っている。
一例として、OHPを利用した授業計画細案をあげてみたい。内容は、単元2)「精神の健康」の3「精神障害と健康な精神」の「心身相関」についてである。学習の流れは、フローチャート(流れ図)を使用した。 図一
(TPNo.2)
一、授業計画作成の条件
指導計画を作成する場合、教育機器を、どこで、どのように活用するかについて、基本的な計画を立てる必要がある。例では、OHPを利用したが、教材によっては、フィルムで動的な活用法も行ってみた。活用する教育機器の特性と利用法を研究し、じゅうにぶんにその価値が発揮できるようなくふうをこらす必要がある。ここで注意しなければならないことは、機器だけにたよりすぎないことである。適切な機器の利用によって授業を進めることがたいせつである。
二、授業計画細案の内容
1) 「学習目標の提示」では、精神と身体は密接な関係があることを、身体的変化が精神におよぼす影響、また、精神的変化が身体におよぼす影響などを具体的に示す。心配ごとがあると食事がすすまない。びっくりして腰がぬけたりする。怒っているときは顔が赤くなる等を図で示す。
2) 「レディネステスト」は、学習活動への導入と生徒の実態をは握する意味で行われるので、「病は気から」ということわざについて、どんな意味をもっているか、質問してみる。案外生徒たちは身近かなものの理解がとぼしいように思われる。また、ここで特に「気力の充実」とは、どんなことかについてふれておきたい。
3) 「精神が身体におよぼす影響」では精神の変化の因子である「怒り」「不安」「緊張」等をあげ、心臓の拍動数が多くなり、発汗が増加することを左図を参考に説明する。
(TPNo.3)
次に危急反応と適応反応について、下図のようなTP(No.3)を作る。
図1 保健学習の授業計画細案例
初めに危急反応の方だけを「OHP」に示し理解させ、その上に適応反応の完成図のTPを「OHP」で示し、双方の違いを明確にする。
ここで生徒の理解度をたしかめる。(確認)八〇%程度理解していると認められたら次へ進むが、それ以下と判断すれば教科書で補説する。