教育福島0024号(1977年(S52)09月)-033page

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五、学級役員

高齢者学級の学習を円滑にすすめるために学級生がそれぞれ役割を分担しお互いに協力して自主的に学級を運営してゆくことがのぞましいことであるので、次の役員をおく。(1)委員長、(2)副委員長、(3)庶務(活動記録一般事務)(4)会計(学級の会計)、(5)委員(方部を代表し学級の事業計画、運営全般についての協議を行い、決定事項について連絡-文書の配布、念達など-を行い周知徹底を図る。)

会場の準備などについては当番制とし各方部ごとに事前に定めておき、自らの手によってつくられている。委員長は出席者の点呼を行うなどすべてが自主的に運営されている。これは連帯意識を高め学級に学ぶ一つの楽しみ

であり生きがいであるかに見え、出席率は極めて高率である。

 

高齢者学級の移動学習

 

高齢者学級の移動学習

 

六、学習内容

生がい教育の観点から、高齢者の学習の場として高齢者学級を設けたのであるから、物的・経済的な面は、国や町の福祉行政で行われるので、この学級ではこれらの行政にのみ甘えることなく高齢者が自らの力で心身の健康に努めて幸福と生きがいをつかむように次のことを学習の目安とした。(1)社会の進歩におくれない学習、(2)孤独を解消するための学習、(3)健康維持管理のための学習、(4)家庭円満を図るための学習、(5)趣味の向上を図るための学習(6)社会に役立つための学習、(7)見聞を広めるための移動学習等を行っているが、一回の学習時間は二時間から三時間で、年間四十時間以上を目標として実施している。

以上七項目にわたる学習の目安をたてたが、これが実施についてはじゅうぶん運営委員会において検討がなされ講師助言者の選択や学習の方法については、学級に出席する高齢者は多種多様であって一律に理論的な学習を進めることは困難であるので、高齢者の心理をじゅうぶんに理解したうえでの配慮が必要である。学級で学ぶことの楽しみと人間性を豊かにすることでもあり、趣味の向上を図るための学習で盆栽づくりの指導もうけた。さつきのブームで興味をもたないものはない。皆真剣にさし木のさし方、植えかえ、土づくり、肥料のやり方、花後の手入れと整枝、針金かけまで習った。また前の年にさし木をするためにもらった成果品の講評があり賞品が与えられた。みんながやる気を起こした。今年も材料が配られ来年を楽しみにしている。一本のさし木でも水を与え愛情をこめて育ててやらないと枯れてしまう。ここに人を愛する心、情操豊かな心が培われ二重三重の学習効果が出て、愛される老人ともなり得る。地区高齢者学級にあっては老人憩いの家白山荘にそれぞれが花壇をもっていて、花造りと花壇の手入れに美を競い合っている。花は四月から霜の降りるまで咲いていて、人々の目をなごませてくれる。家庭教育学級では日のかんかん照る日、お城山の草刈り清掃奉仕御苦労様でしたと感謝されている。

 

七、高齢者学級

「明徳大学」では、修卒業ともに論文(感想文や民話などでもよい)を提出し、明徳文集を発行することとしている。発行された文集は一部を自費購入、一部は公民館から記念として贈られるので家を離れている子や親せきに送られ、現況報告に替えている人もあるやに聞いている。二年生は卒業となるので毎年留年をさせて欲しいという申し出があるが、一年生が二年生になれないものも出て来るので断っている。いずれの卒業生もまた会うことのために同級会をつくり、毎年二回程度の会合と、明徳大学における時局講演などを聞く場合に参加させて欲しいという申し出もあるので会の方へ連絡し聴講生として扱っている。

 

高齢者「明徳大学」文集(年1回発行)

 

高齢者「明徳大学」文集(年1回発行)

 

八、今後の課題

各種学級の実施については、自主的にそして積極的に住民が参加し、事業企画の基本目的に向かって事業を実施して行くために次の視点が考えられる。(1)指導者、助言者の育成と発掘、(2)事業実施機関である公民館職員の資質の向上、(3)生がい教育に基づく学習方法の改善研究、(4)地区グループ活動の充実(育成援助)などを考慮し、現代社会に対応した事業を企画し、その充実強化を図るなど今後ますます高学歴化社会に対応できるよう、整備がなされることを望むものである。

 

 

 


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