教育福島0024号(1977年(S52)09月)-040page
図書コーナー
簡単な図書の整理の仕方 (3)
五、分類された本はどう並べるか
同じ分類番号の本は、どんな順序に並べたらよいか。これには、本のはいってきた順、(受け入れ順)著者の順、本の発行年代順等いろいろあります。どの方法にも長所や、短所があって、どれが絶対によいというきめ手はなく図書館では利用者の便利を考えて、その中のどれかを採用しています。県立図書館では「著者の順」を採用しています。これは同一人の著作がそこに集まるので、合理的で、便利です。ただこのためには目録カードを使わないとできないので、ここに技術上の問題があるわけです。ですから公民館等でとてもそこまで手が回りかねる場合はカードを使わないでもすむ、「受け入れ順」の方法をとればよいと思います。
すでに著者名の頭文字順にし、書架目録をつくっているところでは、変える必要はありません。
〈受け入れ順図書番号についての注意を要する点〉
例えばつぎのようになります。
六四-一 日野真佐恵 やさしい犬の飼い方
六四-二 南部吉毅 犬のしつけと飼い方
六四-三 岩元照男 ロバ先生の犬の飼い方と病気
どの本も一冊ずつのときはこれでよいのですが、「日本百科大事典」のように、全体で十四冊からなっている場合、これらをばらばらにしては不便ですので、何冊あっても全部○○-二とし、第一巻は○○-二-一、第二巻は○○-二-二、…第一四巻は○○-二-一四とします。最後の番号を巻冊番号といいます。こうして、同じ図書番号の本は、巻や冊の番号順に並ぶことになります。ですから受け入れ順の番号ですと、同一分類番号の中は、 一、二、三の順に書いてゆけますから、ルーズリーフ式でまにあいます。
〈書架目録〉
このように本を書架に並べる順に記録したものを「書架目録」といいます。
左の図は書架目録の記入例です。上図は六四家畜(禽)飼育、下図は一部十四冊の百科事典です。下図の方は「日本百科事典」だけについてのものですから、更に別紙ということになります。
64 家畜(禽)の飼い方 (1) 図書番号 著者名 書名 冊数 登録番号 備考 1 日野真佐恵 やさしい犬の飼い方 1 11 2 南部吉毅 犬のしつけと飼い方 1 22 3 岩元照男 犬の飼い方と病気 1 33
00-2 日本百科大事典 図書番号(巻冊番号) 著者名 書名 冊数 登録番 備考 1 第1巻 ア-ウ 1 8 2 3 第3巻 サ 1 18 4 第4巻 シ-ス 1 24 5
〈ラベル〉
このようにして、分類番号、図書記号、巻冊番号がきまれば、ラベルに書いて、図書にはりつけます。
〈書架目録の用途〉
分類別に書いたルーズリーフを番号順にとじたものを書架目録といい、書架に並んでいる図書の有無を調査点検するときに使うのが第一の目的で、新しく本を買うとき、また、入ってきた本を分類するときの参考、分類別の冊数調べ等、用途は幅広く、年度の購入冊数、価格等のわかる図書原簿と表裏をなすもので、両方とも欠くことができないことがおわかりと思います。
六、むすび
簡単な図書の整理の仕方を三回にわたって述べましたが、もちろんじゅうぶんではありません。分類法はわかりにくいだけでなく、一冊の本の内容もまた千差万別です。しかしありふれた本は十冊のうち五〜六冊はだれが分類しても一致するはずですから、心配はいりません。
今後図書館でもこうした講習会を開いて行きたいと考えていますので、ぜひあなたの館の図書を少ないうちから整理して住民の利用を促進していただきたいものです。