教育福島0025号(1977年(S52)10月)-025page

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教育随想

 

整理整とん

 

角田チカ

 

角田チカ

 

この夏ほど整理整とんという事について考えさせられたことはない。

一つには、六月に行った児童のモラルについての保護者の意識調査の結果、「整理整とんがよくできない」という項目についての指摘がどの学年も在籍の半数以上を占め、次位の項目とは大きな隔たりを見せていたからだ。

これは、早いころ職員で実施した「本校児童に欠けていると思われるもの」としての調査で、道徳指導要領三十二項目の中から第一番目に選ばれた「整理整とん」の項目と一致しており、今後の指導の重点としてはっきり浮かび上がったのである。

また、私的な事になるが、都合で家を取りこわすことになり、家財道具を整理して引越す立場となってのそれでもあったわけである。

五年生五十二名の中で、この調査の

「整理整とんがよくできない」

という項目にチェックされた者は二十七名であった。

それで、五年生を対象に整理整とんについての実態を更に調べてみた。

1 整理整とんのよくできない様子

(1) 使った物がそのまま (17)

(2) 机の上が乱雑 (4)

(3) かばんの置きっぱなし  (3)

(4) 引き出しの中が乱雑 (3)

2 整理整とんがよくできないわけ

(1) めんどうくさい (14)

(2) 後でやるつもりで忘れる (5)

(3) 遊びたい (4)

(4) しまう所がない (4)

3 整理整とんをよくやっているわけ

(1) きちんとしておくと気持ちがいい (13)

(2) かたづけておかないと家の人にきつく叱られる (7)

(3) 始末が悪くて困った事があったから (5)

〈1・2の調査は二十七名の中での人数で、3は、二十五名の中での人数〉

この調査から、めんどうだから、又は早く遊びたいから使った物やかばんをそのままにしてしまう児童が多いことがわかる。また、学校の中では身の回りの整とんがきちんとできているのに家からはよくできないとされたり、よくやっているのは家の人がこわいためだりしている。

整理整とんとは、と言葉では多数の児童がわかっていながら、実践面では大きな隔たりのあるのがよくわかる。

また、よくできないわけとして、しまう所がないといっているがこれは物があり過ぎることの裏返しでもある。

 

実践をとおして整理整とん

 

実践をとおして整理整とん

 

大量生産、そして消費、情報過多の時代の姿として、子供ばかりか私自身にもじゅうぶんうなずけることである。

引越しには、思い切って処分しないとかたづかないからと何人かの人に声をかけられ、そのつもりで必要な物を選んでは箱につめた。ところが箱の数がどんどん増えるばかりで困ってしまった。

残して置けば役に立つ時がある本・布・衣類なのにと、これらが極度に不足した時代を生きてきた身にはなかなかふんぎりのつかない事が多い。娘の方は、二年使わなかったら不用として整理しないとやり場がなくなるからとこわいほど能率を上げてかたづけてしまった。

それにしても、引き出物やお返し物にいただいたまましまい込んでいた品物の意外に多いのに驚いた。

わが家では近い将来三人の子供たちの結婚式をあげるようになる。長男の場合は、今までに招待していただいている関係から、慣習に従うようになろうが、あとの子供については、もっと合理的な方法を考えたいものだと思う。

実践化をめざして児童の身につけさせたい整理整とんは、私自身にとっても大きな課題となっているのである。

(東村立釜子小学校教諭)

 

 

 


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