教育福島0025号(1977年(S52)10月)-032page

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研究実践紹介

 

追求心を育てる障害走指導

 

田島町立田島小学校教諭 酒井紹雄

 

一、はじめに

 

「研究」ということばを現場人らしく、授業をとおして児童を知ることを研究と考えて、日々の教育実践に努力し続けているつもりである。その一端として陸上競技の《障害定》指導の実践を述べてみたい。

 

二、小学校体育科における位置づけ

 

指導要領では、きき足で踏み切り、障害物(高さ五○〜六〇センチメートル)を越して走ることとある。ここから、ある程度の指導のめやすは、たつだろうが、しかし、語句から理解できる範囲で児童の動きを予想し、指導の具体策が立つであろうか。ここに現場人としての指導と技術が課せられることになろう。

 

三、陣害走の掘り下げ

 

(一) くふうの必要性

障害定は比較的単調になりがちな走運動に、跳び越す運動を加えることによって、一般に興味をもって行われる。しかし、この運動はハードリングやインターバルの技術においても児童のつまずきが多く予想される。

(二) 障害走と基礎的運動能力

とりわけ障害走は各種の運動能力の要因と関係があり、瞬発力・敏しょう性・柔軟性・筋力・調整力と多くの要因と関係がある。

さらに障害を克服するための決断力(気力・根性)も必要になる。

(三) 技能要素の分析と系統 (下表)

(四) 系統的指導

系統的指導について二通りの考え方をもった。前者はグラウンドハードリングのような基礎技術から応用技術そしてレースへ結ぶ。後者は、障害物を跳ばせてその分析から基礎技術、応用技術などへ結ぶ方法がある。児童の主体性や興味関心などから考えると後者の指導もたいせつである。

 

四、指導の実際

 

(一) 展開の特質

1) 教材の分析に力を入れ、どのような目標・指導・児童の活動をとり入れたらよいか配慮した。

2) 第一時から最後までを系統的、発展的に分析して組み立てた。

3) 常に競争(個対個)(個対グループ)のたてまえをとった。

 

表1 技能要素の分析と系統

 

学年
要素
5年6年
振り上げ足
(前足)
ひざを少し曲げて前方に振り上げる−障害に触れない程度の高さ−左同
ぬき足
(踏切り足)
足を後に流さないようにしてわずかに横に回して着地するひざを曲げて横に開いて越す
踏み切り着地障害の前1〜1.5m
障害から50〜(実際に合った高さ)cm
1〜1.5m
70〜80cm
上体の前傾からだのバランスの失われない程度に前傾させる腕を効果的に使い,からだを前傾させる
中間走同じ歩幅で中間定をする△走り高とびの助走のようにならないインターバルを5歩で走る
高さ40〜50cm50〜60cm

 

表2 体育指導記録

 

表2 体育指導記録

 

 

 


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