教育福島0025号(1977年(S52)10月)-039page

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第一回理科講座と本講座三回を受講しましたが、いつも感じることは、親切丁寧な御指導と各種準備物が完全に整えられていることである。

本教科の指導領域は広く、理論は高度で、とかくすると実技と理論は分離しがちであり、その意味から生徒に理解できる教具の開発は必須である。しかし、学校では、多様な業務に忙殺され、じっくり開発ができない現状である。今回のように、明日からの授業にすぐ役立つ教材教具の製作は貴重なものであった。

教師生活十五年、どういうわけか、今回ほど自分自身を腹立たしく思えたことはなかった。知識の停滞はもちろん、忘れ去ったものが、いかに多いかということであり、研修を怠っていた自分に対する怒りで、教師としての力量のなさに対するものであった。

研修生は県下各地より参集し、本教科の今日的課題や多様な教育観、指導技術に接し、たいへん参考になった。

 

増幅回路の製作実習

 

増幅回路の製作実習

 

平第三中学校

岡本至大

中学校教員になってから十年目を迎えました。ひたすら思うことは、日常の実践活動が生徒たちに満足のいくものであるかということで不安になるものです。自分自身をいっそう前進させる必要にせまられます。今回、本講座の受講の機会を与えていただき、本当に感謝しています。

講座に期待することは数多くありますが、最も願っていたのは、この機会に、教える立場から、生徒の立場にたち、じっくり学び、腕を磨き、教育に対する「何かの考え」を持ち帰り、今後の指導に役立たせたいということでした。

本教科の性格上、研修は、実験実習が中心になります。研修生十二名がともに助け合い、協力し合うあの姿は、生徒たちが体得するであろう協力の精神とくふう創造の喜びと全く同じでありました。

相互に質問し、教え合う姿、協力し合って完成へ向かう姿は、大人の世界でもなかなか困難なものです。

むずかしい知識の習得は、ある程度自分の努力で可能です。しかし、同じ目的を持つ者同志が、ともに学び、語り合い、その中から生まれる人間的結合は、自分だけでは得られないものがあります。当教育センターの研修は、この忘れかけていた尊い体験を肝に銘じるものでした。このことは、学ぶ生徒の立場を理解し、教師としての言動を慎しみ、教師の良心に食い入るものであり、授業の改善にも直接役立つものでありました。

機会があればまた参加したいと思います。

 

桧沢中学校

阿久津アヤ子

女子向きの前期講座の内容は、食品添加物の検出、小麦粉や寒天の調理性に関する実験、電熱器、電動機、照明器具など家庭電気に関するものでした。

三泊四日の二期にわたる受講の機会に恵まれ、本当に感謝しています。

前期の研修期間に、特に、感銘し、啓発されたいくつかの点をあげ、感想といたします。

1、「真の教材研究」に接し、今後の研究のめあてができたこと。

2、「ねらい」を達成するために、指導のポイントをどこにおくべきなのか、各種実験、計測実習を通して学んだこと。

3、学習者に、いかに意欲をもたせ効率的な学習をさせるために、何が必要であり、その指導のこつはどこにあるのか、教具の製作を通して学んだこと。

4、学習には、綿密な計画と周到な準備が、いかにたいせつであるかを、実験装置の製作で学んだこと。

5、四日間をとおし、協力して学ぶことのたいせつさ、相互に本音を出し合い、和やかなふんい気で学ぶことの大事さ。

など数多くありました。

後期の講座に、楽しみと期待を寄せております。

 

三、最後に

 

家庭、技術・家庭科は、実践的、体験的な学習を通して、生活に必要な知識や技術を習得させ、くふう創造する能力及び実践的な態度の育成に、その目標があります。

したがって、本講座の内容や方法においても、それらの目標から逸脱しないように展開しようと努めているわけであります。学校においても、いままで、なにげなく扱ってきたものでも、本科の性格や目標をもう一度見直し、指導内容や方法を再吟味してみる必要があると思われます。そのための第一歩は、なんといっても教材内容をじゅうぶんにこなすことがたいせつだと思います。

その意味で、本講座が、先生がたの手助けに、少しでもなれば幸いであります。

 

 

 


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