教育福島0026号(1977年(S52)11月)-034page
福島県教育センターから
教育相談のケースを顧みて
一、相談の内容
教育相談の内容は、各都道府県の教育センターで多少の違いはあっても、全般的には次のように分類している。
(1) 知能や学業に関すること。
知能のおくれや偏りがあったり、学業に問題があるもの。
(2) 性格や行動に関すること。
性格や行動上の異常や問題のあるもの
(3) 進路や適性に関すること。
将来の進路の選択や適性の相談に関するもの。
(4) 身体や神経に関すること。
身体や感覚器管の障害及び精神身体症状や精神医学的な問題をもつもの。
(5) 教育一般に関すること。
正常児のしつけや子供の教育などに関する積極的な相談など。
二、相談の概要
(1) 幼児・児童・生徒・父母との教育相談
1) 幼児及び小学校低学年の児童が持つ問題行動の矯正治療は、相談の回数を重ねるにつれて、最初の主訴と違う方向に行くことが多いが、いずれにしても、原則として遊戯療法を用いている。しかし、ケースによっては、絵画療法、行動療法等もあわせて実施している。
2) 小学校高学年の児童及び中学校高等学校の生徒に対しては、カウンセリングを主として用い、治療に当たっているが、自律訓練法や行動療法もあわせて実施している。
3) 父母に対しては、子供が持つ問題行動の矯正治療法の効果を高めるために、親子関係の改善、しつけや養育の正しいあり方を指導助言するとともに、その定着化を図るために、自律訓練法や感受性訓練等の心理療法を実施している。
(2) 教職員への相談・助言
1) 来談した幼児・児童・生徒の問題行動の矯正治療の効果を高めるためには、どうしても、保育所、幼稚園、学校側の協力が必要であり、特に担任教師と連絡を取りながら、指導助言の徹底と協力をお願いしている。
2) 時には来所した子供の学校等での行動を観察した資料の提供を依頼しともに指導の方法を研究し合うようにしている。
3) 必要に応じて、知能検査、性格検査等の諸検査を実施し、その結果を学校に連絡し、指導の手がかりとしてもらっている。
4) 教育一般についての相談に関する諸問題を研究解明し、学校からの要望に答えている。
(3) 来談者
表1、表2からもわかるように、前年度に比して、来談件数が急上昇していることは、本来あまり望ましいことではない、しかし、教育相談の重要性が認識され、子供の心にまで、目が向けられてきた結果、増加につながってきているととらえれば、それなりに、大きな意義を認めることができよう。
三、学校における問題行動の類型
問題行動といえば、すぐに非行関係がうかんでくるが、問題児とは、問題を持つ児童、生徒のことで、一般には家庭で親が取り扱いに困るとか、学校で教師が扱いにくいとかいう児童・生徒を指す場合が多いが、広義に考えれば、次のような児童・生徒が含まれる。
○身体的問題児
身体虚弱、肢(し)体不自由、盲ろうなど。
○知的問題児
精神薄弱、学業不振、ある種の天才など。
○社会的問題児
人格的意味で、社会生活上の不適応をするもの。
これらを、学校という立場に立って代表的な問題行動の類型としてあげれば、表3のようになり、それぞれの素因に分けられた問題行動の一つ一つを実際の場面にあてはめて検討し、利用することが望ましい。
表1 延べ人数
年度 幼児 小学校 中学校 高等学校 一般 教員 計 51 284 276 128 59 7 32 786 52.4〜7 94 75 84 61 1 37 352
表2 内容別延べ人数
年度 知能学業 性格行動 進路適性 身体神経 教育一般 計 51 131 132 12 479 32 786 52.4〜7 60 190 0 67 35 352