教育福島0027号(1977年(S52)12月)-026page
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る。
関口 これは人から聞いた日本からドイツに留学したピアニストの話であるが、そのピアノの先生は、その生徒に一年間ピアノにふれさせないで、専ら走らせることにした。その結果、手足をとおしての感覚が非常にすばらしくなり、りっぱな成長をとげたという話をきいてたいへん参考になった。
佐藤 子供を前にしての教委と組合の対立抗争については、じゅうぶん考慮する必要がある。
司会 組合との話し合いについては、子供を度外視した組合と教委の対立抗争ではなく、子供の教育を中心に考えたものにしていきたい。
新田 組合のあり方について、その存在は教育ないし社会の近代化のために必然性をもっていたと思う。我々はえてして自分たちできめたことについて自己矛盾を起こすことがあり、種々変わったり、変わらないにしても、本来はこちらでなければそちらと、必ずしもいかないような場合があるのではないか。数年前になるが会津地方を学生と旅行し、若松の学校を見せてもらったとき学校長がこんなふうにいわれた。「先生がたが“退勤時だからもう帰ろうや”というようなことはうちの学校ではいわせない。自分で用事がすんだら自分で帰ってさしつかえない。他の先生が仕事をしているのに、帰るべきであるというようなことは、すべきではない。」というのである。
やはり、一方で教師のサラリーマン化、あるいは定量勤務など、近代社会における教師は労働者であるがゆえに八時間以上の勤務はやめる必要があるというところからでてくると思うが、一面それはサラリーマン化したということになるが、そこの接点が重要でないかと思う。教育というものは、時間的にだけ、能率があがっていくというそういう仕事でないということを父兄にも知ってもらうことが必要だ。教師自身も教育とは何か、教師は本来どんな職業なのかを押さえておかないといつも堂々めぐりをしていつまでもふんぎりがつかない。学校の管理体制が強くなったとか、弱くなったとか、いろいろあるが、そこに学校の自主性、あるいは教師全体の自主性があれば、例え教育委員会の方針がこうであっても、そこをもう少しふんばったりそれを地域に合うように、自分の学校ではこういうふうに押さえて進めたいという、頭を通しての経営のあり方がたいせつだと思う。それが画一化してしまうと、どこの学校の児童生徒も同じようになってしまう。
(2)社会教育について
司会 次に社会教育について御意見をいただきたいと思います。
鈴木 社会教育の指導者の養成や研修について、県として考えていることをお聞きしたい。
例えば、社会体育の指導員という制度を考えてみても、学校の先生がたが非常に多くタッチしておられる。昔ならいざ知らず、現在では中途半端な状態では指導できないのではないか。高校の運動部や社会体育の指導についても計画的にやらなければ、進歩というものは考えられない。指導者養成の確立については、県や大学側で考えていく必要があると思う。
社会教育課長 社会教育主事の養成については、現在山形、宮城、福島の三県が一つになって東北大学で行っているが、そのわくが一県四十名になっており問題がある。これはやはり、文部省に働きかけて委嘱する学校をふやしてもらうとか、福大の方でも社会教育主事の単位を取れる講座を設けられるということも聞いているので、それらのことをじゅうぶん配慮し、専門職としての社会教育主事の養成を積極的に進めていきたい。社会教育の場合にはボランティアを養成して、御協力願わなければならないと考えている。
関口 うちの学校で、今年九月に地域大学を開講し、婦人会のかたがたに呼びかけ、その代表のかたがた七十名が集まり、家政学とか経済学、政治学、文学などについて行ったが、非常に喜んで参加してもらった。各大学には開講できる余裕が多少あるんではないかと思う。各大学が協力して利用できるようにするのも、一つの方法としていいんではないか。特に五十代からの要望が強いので、福大などにも御協力いただく必要があると思う。
社会教育課長 成人大学講座については、文部省の補助をいただいて推進しているが、県下では五つ設けられ、会津短期大学の御協力を得て、八十名の希望者を対象に進めている。福島では福島女子高校で百二十名の希望があり、部屋に入りきれず打ち切ったという状況である。成人のかたがたの学習に対する意欲が強いので、最高のスタッフを擁している各大学の御協力をいただきたい。
司会 社会教育については、退職された先生がたが、人材銀行などを作って地域の社会教育に積極的に協力していただければ幸いです。
大学入試の改革に望む
司会 次に大学入試改善についての御意見をいただきたいと思います。
渡部 私のところは、子供四人のうち三人はすでに大学を終わり、一人が在学中ですが、受験に際して学校をきめようとすると、高校での履修科目の関係で大学の選択は非常にむずかしい。子供たちが将来、何をしようか、何を
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