教育福島0027号(1977年(S52)12月)-033page

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(2) 学習展開例(右図)

総指導時数五時間のうち二時限目の学習展開例。

(3) 実験例

1)インジゴカーミン法により、光合成により生じる酸素を検出する実験。

〔ねらい〕

緑色植物に光があたると、光合成がおこなわれ、その結果酸素が発生することを確かめる。

〔考察〕

○水道水中の水草の周囲の液が青色に変化することから、光合成の結果発生した気体には、空気と比較して酸素が多く含まれている。

○汚水中の水草の周囲の液が青色に変化するには、Aより多小時間がかかる。このことは、一定時間内に発生する酸素の量が少ないと判断してもよいであろう。すなわち汚水中においての光合成量は普通の水からみれば少ないのではあるまいか。

2)光量と光合成量との関係を調べる実験(気ほう計算法による酸素の定量的な実験)

〔ねらい〕

緑色植物に光があたると光合成がおこなわれ、その結果酸素が発生することを確かめ、光源からの距離による(光の強さによる)光合成量の変化を水道水と汚水中で調べる。

〔考察〕

○Aの方は連続的に気ほうがでてくるが、Bの方は断続的である。

○光合成量は、光の強さが強くなるにつれて急速に増大する。

○水道水と汚水では、汚水の方があきらかに酸素発生に時間がかかる。

○このことは、インジゴカーミン法による酸素発生の場合の結果と一致する。

3)アサガオの緑葉の光合成(ヨウ素試験)

〔ねらい〕

光合成がおこなわれる条件と、その結果どのような物質が合成されるかを実験的に調べる。〔結果〕

A-正常に生育したアサガオの緑葉

○淡紫黒色

○淡無光沢黒色

○光沢ある黒色

B-排気ガス等におかされたアサガオの緑葉

○黄 色 ○黄褐色 ○淡紫黒色

(注)実験インジゴカーミン法により、三分後、七分後に観察

〔考察〕

AとBの対比から、排気ガス等に汚染されたアサガオの緑葉は、デンプン量が少ない。しかし、本当にそうであるかどうか。たまたまこの実験の結果からそう出ただけで結論を出すことは危険である。

五、生徒の変容

光合成の学習は、小学六年生で学習しているので、生徒実験がやりやすいし、科学の方法にしたがってすすめていく良い教材である。

排気ガス等に被曝(ばく)された「アサガオの緑葉」の光合成は、「汚濁水中での水草」の光合成はどうなのか。など生徒の未知のものを教材として「光合成」の学習をすすめたため、生徒の興味、関心のちがいが、はっきりして非常に意欲的であった。

六、終わりに

この研究実践は、本年度全国中学校理科教育研究大会奈良大会での研究発表の内容の一部である。本校理科研究部が一つのテーマにそって実践して来たことであるが、今後生徒の「ゆたかな自然観育成」に発展させ、各部員が更に実践を重ねて、共同研究がすすめられる方向にいきたい。

〔研究同人〕渡部正宗、鵜沼彦成、大和国俊六、日仲功、吉野純一

(文責 新家)

 

図2 水生植物「カナダモ」

 

注 水溶液は水道水と汚染された水(小名川の水)を使用。

 

注 水溶液は水道水と汚染された水(小名川の水)を使用。

人工光は同時に同じ光源から照射した。

 

図3

〔結果〕

区分A水道水B汚水C汚水
実験開始直後着色していない着色していない着色していない
5分後葉のまわりが青色上の方から緑色変化なし
10分後全体が青色葉のまわりもうす青変化なし
20分後全体が青色全体にうす青広がる変化なし

 

図4 水生植物「カナダモ」

 

(注)

 

(注)

○500Wのスライド映写機をつけ,光源と水草との路離をいろいろに変えて気ほうの出るはやさを測る。水そうと光源の間には,フィルターとして,薄い水そうに水を入れたものを置く。

○遠距離(1.Om)からはじめて,次第に接近させる。

 

〔結果〕  データ

光源からの距離(m)0.20.30.40.51.0
水道水と汚水ABABABABAB
10個の気ほうが出る時間(秒)1回5.567.05.8102.06.9140.07.0140.012.0178.0
2回5.566.05.398.06.0130.07.4138.011.0173.0
3回5.165.05.473.05.7120.07.5107.011.0163.0
4回5.262.05.270.05.7115.06.7105.010.0155.0
5回4.562.05.275.05.4108.06.695.09.8138.0
平均5.264.05.484.05.9121.07.0110.010.8161.0

水温 A水道水 20.0℃   B汚 水 19.5℃

 

 

 


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