教育福島0027号(1977年(S52)12月)-041page

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やさしい教育法令の解説

 

職員団体について

 

一、職員団体の結成と加入

地方公務員である教職員には、地公法上争議権及び団体交渉権は与えられていないが、給与・勤務時間その他の勤務条件について、地方公共団体の当局と交渉するための団体を結成したりあるいは結成しない自由を保障しています。

このように勤務条件の維持改善を目的として組織される団体又は連合体を「職員団体」といいます。

職員団体は、当該地方公共団体の職員(警察職員と消防職員を除く。)が主体となって構成するものとされています。職員が職員団体に加入するか否かは、本人の自由であり、いわゆるオープンショップ制がとられています。

また職員団体を結成する場合、管理もしくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員と、管理職以外の職員とは同一の職員団体を組織することはできないと規定されています。

(地公法五二条・県職員に係る管理職員等の範囲を定める規則-昭和四十一年八月二十三日福島県人事委員会規則第十二号)

これは管理職員は、職務上の義務と組合員としての義務が両立しえないという個人的な問題のほかに、組合内部における影響力を利用して、職員団体の活動を支配し介入するおそれがあるからです。

二、職員団体の登録

当局と職員団体が、互いに正常な労使関係を確立していくことを期待するという観点から、職員団体が自主的に組織され、かつ民主的に運営されている団体であるということを、 一般に公証する必要があります。この公証の制度が登録制度です。登録を受けるためには条例の定める手続きにより、人事委員会又は公平委員会に申請しなければならないことになっています。

職員団体が登録するか否かは任意であり、当局との交渉能力など職員団体としての基本的地位は、登録によって左右されません。ただ登録を受けた職員団体は、その自主性・民主性が確認され、公証されているという地位に基づいて非登録団体にくらべ、次のような附加的な利益が与えられています。

(1)登録を受けた職員団体は、法人格を取得することができる。

(2)登録団体から適法な交渉の申し入れがあった場合、当局はその申し入れに応ずべき地位に立つこととされている。

(3)登録団体は在籍専従職員(公務員の身分を有したまま当該職員団体の業務にもっぱら従事する者で在職期間は五年間にかぎる。)を置くことができる。

三、職員団体の交渉

職員団体の目的を果たすためには、当局と話し合い、接衝していくことが必要であるが、この職員団体の目的遂行の主たる手段として制度化されたものが「交渉」です。

職員団体の交渉の対象となる事項は給与・勤務時間その他の勤務条件に関する事項のほか、これに付帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項です。

地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることはできません。

また職員団体が交渉することのできる地方公共団体の当局は「交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる地方公共団体の当局」とすると規定されてあるので、交渉内容によって教育委員会の教育長等のほか、校長又は教頭も交渉の当局となります。

地方公共団体の当局と職員団体との交渉に当たってはルールを明確にし、能率的でしかも秩序ある交渉をもつようにしなければなりません。

このような意味から、交渉を行うに当たっては、事前に職員団体と当局は予備交渉を行い、交渉時間、場所・交渉事項、交渉に出席する人数等をとり決めてから交渉を行うこととされています。

適法な交渉は、勤務時間中においても行うことができることになっています。

交渉に当たっては予備交渉でとり決めた内容を双方遵守し、実効あるものとするよう、努力していくことがたいせつです。

四、職員団体のための職員の行為の制限

職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行い、又は活動してはならないとされ、職員団体のための職員の行為を制限する定めがなされています。

本県においては、「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」が制定され、次のように定められています。

(1)勤務時間中に適法な交渉を行う場合

(2)国民の祝日に関する法律に定める休日と年末年始の休日

(3)年次休暇並びに休職の期間中

※地公法=地方公務員法

 

 

 


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