教育福島0028号(1978年(S53)01月)-008page

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特選・研究論文

 

変遷の理解を中心とした歴史学習のつまづきについて

−−誤答事例の分析と考察−−

 

伊達町立伊達小学校教諭 高島現

 

一、研究の趣旨

小学校六年社会科の学習で「日本のあけぼの」「日本の国のなりたち」「貴族の世の中(奈良・平安)」を指導した段階で基礎的内容、応用的内容の二領域についてテストを行った。

基礎的内容として、時代を代表する人物の業績についての理解と、時代の特色を表わす文化についての理解の二点、応用的内容として歴史の事実や事象の変遷についての理解と、歴史の事実や事象を原因と結果の関係でとらえることができるかの二点をそれぞれ取り上げた。

結果の予想としては、基礎的内容の理解があれば、応用的な内容の解釈は可能であると考えたのである。

ところが、歴史理解の様相は多種多様であり、人物や文化の理解に関する問題では大部分の正答がみられても、変遷の理解となると著しく劣る児童が数多くみられた。(約六〇パーセント)

また、応用的内容の一つである因果関係をとらえる力についての問題で正答を示しながら、変遷の理解では誤答となる児童もみられた。

このような児童は、どんなつまづきによって、人物の業績や優れた文化遺産について、変遷との関係で理解できないのであろうか。

また、基礎的な知識・理解を変遷と関係づけて理解させるためには、どうすればよいのであろうか。

この二つの問題は、教材の精選と指導の重点化が叫ばれる今日、小学校の学習では、どんな内容を、どの程度まで、どのようにして学ばせていくかを明らかにしていく上で、欠かすことができないものであると考える。

 

二、研究の内容

(一) 研究課題

この研究を進めるに当たって、次の四つの研究課題を設定し、追求することにした。

課題1

変遷の理解は、人物や文化の理解因果関係をとらえる力と、どんな関係があるのか。

課題2

変遷の理解度によって、児童の歴史理解のプロフィールは、どう変わるか。

課題3

変遷の理解の程度、理解の安定状況はどうか。

○各問題ごとの理解度

○各問題の理解度比較(安定状況)

課題4

誤答事例のつまづきの傾向と原因

(二) 研究の概要

(1) 課題1について

変遷の理解と人物や文化の理解、因果関係をとらえる力との相関を図に表わし、児童の分布状態からその関係をとらえることにした。

1) 変遷の理解と人物の理解の相関

人物の理解度が高い者ほど変遷の理解度も高くなっているが、人物のある程度の理解は、変遷の理解が劣っていても可能である。

2) 変遷の理解と文化の理解の相関

1)よりはゆるやかであるが、文化の理解が増すにつれて、変遷の理解度も高くなるとみることができる。

 

1)変遷の理解と人物の理解の相関

 

2)変遷の理解と文化の理解の相関

 

2)変遷の理解と文化の理解の相関

 

3)変遷の理解と因果をとらえる力の相関

 

3)変遷の理解と因果をとらえる力の相関

 

3) 変遷の理解と因果関係をとらえる力についての相関

 

3) 変遷の理解と因果関係をとらえる力についての相関

両者は密接な関係があり、因果関係をとらえる力の高まりは、変遷の理解を確実にしているとみることができる。

しかし、人物、文化の理解度が高いのに、あるいは、因果関係をとらえていながら、変遷の理解が劣る児童が多いことに着目しなければならない。

(2) 課題2について

人物や文化の理解、因果関係をとらえる力は、変遷の理解度によってどんな様相を示し、どう変わるかを調べるために、テスト結果から児童一人一人のプロフィールを作成した。それを変遷の理解度ごとにいくつかの型に分類し、児童の歴史理解の様相を明らかにしようと試みた。

その中で「人物、文化の理解、因果関係をとらえる力が優れているにもか

 

 

 


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