教育福島0028号(1978年(S53)01月)-010page

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特選・実践記録

 

児童一人一人の能力を伸ばす指導をめざして

−−算数科の授業実践を通して−−

 

西会津町立野沢小学校教諭 佐藤紀子

 

一、実践の趣旨

日常の算数学習に対する児童の取り組み方をみると、意欲的なものとそうでないものとがはっきりしている。算数は、むずかしいもの、きらいなものとして、あきらめをもって一時間をたえしのぶといった児童もみられ、解決する楽しさ、考える楽しさを知らないものが多い。

前年度までの基礎学力の不足を補いつつ、だれがどの程度本当にわかり、どこでつまずいているか、個々の児童に目を向けながら、全体的な誤反応の傾向をさぐり、それに対する指導を加えていけば、児童も「わかった。」という充足感や解決の喜びを味わうことを通して意欲も増し、一人一人が、自己の能力に応じて、その学年における学習内容を最大限に理解できるのではないかと考える。そのために、次のような仮説をたてて実践した。

(一) 学習目標の明確化、具体化を図り総括的な評価のみでなく、形成的評価を重視する。

(二) 全題材にわたり、学習指導案を作成し、授業過程や一単位時間内での児童のつまずきをさぐり、フイードバックさせるとともに、系統的に学習が進められるようにする。

(三) 自分から進んで学習したり、助け合って学習できるような手だてを考え、実践する。

 

二、実践の内容

(一) 第一年次(第五学年)の実践経過

学習目標の明確化、具体化を図るため目標の細目表を作成することによって図り、毎時の学習指導に生かし、形成的評価や総括的評価によって、変化する児童の実態をできるだけはやくとらえ、矯正したり、フィードバックさせたりしながら、個々の力を伸ばしていこうと考えた。また学習の自立化を図るため、協力学習学習カード等を取り入れていった。

その結果、一応の効果はみられたが、問題点として、次のようなものが残された。

1) 細目表作成のため、各項目の考え方をどう具体化するか。

2) 知識・理解が定着されない面をどう改善するか。

3) 毎時の授業の流れの中で、個別指導をどうするか。

 

(二) 第二年次(第六学年)の取り組み

1) 目標細目表の作成について

一つの目標(内容要素)を行動要素にあてはめる時、どの項目の中に位置づけるかを明確にしておく必要があると考え、「算数科到達度評価事典」を参考に作成することにした。

2) は持テストについて

一か月以内には持テストをできるだけ実施し、指導の反省に生かすとともに、定着度について見直すことにした。

3) 観察記録カードについて

昨年度の実態をもとに、一単位時間の学習が、どの程度まで修得されどのような誤答をどのような誤答をどの段階の児童が示しているか、簡単に識別され、実態をつかみやすいようにした。

4) 授業全般について

一単位時間の授業の基本的な流れを設定して、授業を進めているが、六年生ともなると、どうしても理解できない児童がでてくるのが現実である。五年間の学習の上にたって、分析、総合していく学習が多くなり単純な思考や技能だけで解決できる内容が少なくなるためと思われる。

それで、学習形態に特に考慮し、個別学習、協力学習を授業過程にできるだけ位置づけることにした。

5) 協力学習の強化について

グループ指導については、より自主性を高めるために、班点検を行いながら、班の協力度をより高める努力をした。班長会を学級の企画委員会的な組織として設置し、一週一回の定例会の他、必要に応じて会を開き、話し合った内容や問題点を学級会で討議、決定して実行していくように努めさせた。班長は、半数以上の信任を得た立候補者、被推薦者がなり、班員は、班長が選んでいくシステムをとった。一つの班でも不満がある時は、班替えを行い、それを繰り返すことによって、班員、班長としての役割を自覚させていくように努力した。

 

(三) 授業実践例

一つの単元を具体的にどのように展開していったか、概要を述べると次のようになる。

1) 到達目標の設定

2) 前提条件テストの実施

3) 目標細目表の作成

4) 評価の計画について

総括的評価は、到達目標にのっとったものとする。まとめテストは毎時実施、形成的評価は、小単元ごとに実施して、再指導を加える。

5) 指導の展開 (省略)

6) 総括的評価とその結果について

形成的評価の内容とダブらせないで、簡単なものからやや高度なものまで含むよう配慮し、作成、実施した。その結果は、スケログラムに表わし、分析、検討した。

7) 家庭との連絡について

 

 

 


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