教育福島0028号(1978年(S53)01月)-011page

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家庭の関心の度合いがわかるだけでなく、児童も「学習カード」を渡されると「やっぱり。」などとうなずいている姿をみかけるようになり、自由勉強(一人勉強)にも生かされるようになった。

8) は持テストの実施

9) ノートのとり方について

第一年次同様、自分の考えの道筋や、理解のようすがはっきりわかるようなノートの取り方をさせたいと考え実行させた。

10) 五分テストノートについて

毎時のまとめテストの記録と形成的評価や総括的評価を累加して記録させ、自己反省させるとともに、一単位時間、一単位時間をより意欲的に取り組ませることをねらって、第一年次より続けているノートである。

11) 学習のまとめについて

10)を整理したものである。児童一人一人の力に応じて、努力している姿が一目でわかるようになっている。また、冬休み、夏休み等長期の休みに、自分の学習の足りないところを補うための資料として利用している。

12) 協力学習について

生活班をそのまま学習班にしていることもあり、班点検などを通して班の自治性が高まり、自主的に行動できるようになった結果、特定の係を設けなくても助け合いながら学習する姿がみられるようになった。しかし、そうなってくると、自分から問題意識を持ち、わからないところはだれにきいてでもわかろうとする子と、そのままにほっておく子との差が開いていくのが目立ってきた。

 

(四) 結果と考察

1) 学力テストの結果について

ア 個人のテスト結果と変容

ア) 得点

イ) 学力テスト個人カード

イ 集団のテスト結果

ウ 集団の変容と考察

ア) 全体的変化

イ) 検定(tテストを用いた検定)

・学力偏差値の平均の差の検定

・知能と学力の偏差値の平均の差の検定

ウ) 領域別の変化

エ) スケログラムから

オ) 新成就値座標から

2) 考察

ア 仮説をもとにして、到達目標を持ち、形成的評価や総括的評価を計画的に行い、毎時の指導案を作成しながら、指導した結果、一人一人の児童の学力はより高められたのではないかと思う。

イ はじめは、教師の指示によっていた協力学習が、五分テストや学習カードにより自己の問題点をは握させる一方、生活班としての指導を強化していった結果、自主的に取り組むところまで高まった。

 

(五) 今後の課題

1) 高学年となり、能力差が開いてきた場合、能力別グループを組織していくのも、学習効果をあげる一つの方法ではないかと思う。能力あるものの足をひっぱることなく、より以上に伸ばしてやることもたいせつなことと思われる。

2) 学習は、本来個々に成立してこそ将来、生きて働く力となりうるのではないかと考える時「協力」がいきすぎた状態になっていないかという反省を持つ。

3) 毎時の授業の指導過程は、それなりに成功であったと思うが、個々に応じた目標をどう持たせ、それを授業の中にどう取り入れ、達成していくか、全体目標(本時のねらい)とのかかわりはどうすればよいか、今後の大きな課題であると思う。

4) 学習の効果をより大きくするためには、教師の指導力もさることながら、自ら学ぼうとする意欲を持たせることがなによりもたいせつであるということを、改めて実感させられた。わからなくても努力してわかろうとする気持ちを失わない限り、わずかずつでも自分のものとなって残っていくが、知能的にはすぐれているものであっても、与えられた学習しかしない者は、学習の効果は余り期待できない。自主的に子供自らが学びとっていくための学習過程はどう組織すればよいか、さぐってみたいと思う。

5) 学習を効果的にする要素として、家庭環境、学校内外での友人関係も大きな役割を果たしているのではないかと思われる。教科外活動や特別活動、生徒指導等を全体として徹底させることにより、一人一人がより力を伸ばしくいことができるのではないだろうか。

 

一人一人を見つめて

 

一人一人を見つめて

 

◇講評◇

(一) 学習指導上の問題点に目をそむけることなく、たえず創意を生かしながら、全力を傾けて実践している姿が、記録を通して、うかがうことができる。児童一人一人への配慮もよくなされている。

この実践研究を支えたものは、教師の子供への信頼と、一人一人に注ぐひたむきな愛情ではなかったろうか。

(二) この実践研究を足場にして、自ら生んだ「今後の課題」等に積極的に取り組み、研究領域を広げ深めていってほしい。

 

 

 


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