教育福島0028号(1978年(S53)01月)-013page

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い」。下位では「自分のためにもなりやっているところもすぐわかる。」「忘れたときに見られる。」「計画的に授業が進む。」など、能力に応じて経験に基づいたよさを述べている。

○ 「保存について」は、必ずはっておくと答えた生徒は八九・一パーセント、「半分ほどなくした。」と答えた生徒は三・一パーセントという結果がでた。

○ 「利用」では、新しい用語の調査、つぎの予定の確かめ、ページ数を参考にするなどしてそこにある問題をあらかじめ個人で解決させたりしている。

○ 改善点として、形式面では、家庭学習状況の検印の数を記入する欄と特に力を入れなくてはならないところに印をつける欄を設けてほしいという要望があった。利用する側の妥当な発想なので取り入れていきたい。

いずれにしても、「計画的に授業が進み、き帳面になれて、自分の計画がたてやすく、見通しがきいてやる気が出、忘れたときに何を学習したのかふり返ることができる。」学習予定表は、教師が意図したそれなりの機能を果たしているように思う。

「例2」確かめプリント

毎時の確かめを指導過程に具現化するための一つの方法として取り上げる。それも到達度合いが数量化され、基本的な考え方の習得と技能の習熟状況を確かめ定着化を図れるような問題とする。

したがって、終末時に提示されることは当然である。

「確かめプリント」についてのアンケートから(自作)

(注)五十一年度第二学年実験群五クラス実施)

○「あった方がよい。」と答えた生徒は九七・四パーセントで、その理由に「その日自分がどこまで覚えたか確認できる。」「その日の学習内容の整理ができて重要な点もわかる。」「反省の基準になる。」「テストの資料になる。」をあげている。

○「量と内容の程度」については、「ちょうどよい。」が七〇・三パーセントであった。しかし下位では、「量が多い。」が七・七パーセント、「むずかしい。」が一五・三パーセントもいる反面、上位の一部からは、より高次の問題も加えてほしいという要望もあり、内容が一律の確かめプリントはもはや限界にきているように思われる。したがって、今までどおり基本的内容の習得・習熟をねらいながら上位も伸ばしてやる方策が必要であることもわかった。

 

(四) 変容

1) 教師側

ア 主題に取り組んだことによって、教育のおかれている今日的課題に意識的に取り組んでみようとする心構えができ、「教育福島」の熟読のたいせつさが納得できた。

イ 学習指導要領の分析によって、教材研究の原点をそこに求めるようになり、出題も基本的内容に比重をかけるようになった。

ウ 学習予定表の作成配布によって、授業の進め方が計画的になり、また予定をくずすまいとして健康管理に気を配るようになった。

エ 予習的課題を提示するようになって、教材研究をせざるを得なくなり自信をもって授業に臨めるようになった。

オ 毎時の授業の記録を累積するようになって、誤答の類型をつかむことに敏感になり、その分析がおっくうでなくなってきた。

カ 教材の類別を試みたことによって学年の関連を意識的に取り上げて授業をするようになった。

キ 計画的なテストの実施と結果の分析によって、評価の観点にも自信がもてるようになり、評定も冷静にできるようになった。

ク 教材研究の時間を生み出そうとして、仕事の処理に計画性が出てきた。

ケ ノートの検印によって、生徒との意志の交流が図られ、生徒のかくれたよさや考えなどを発見できるようになった。

コ あらかじめ板書事項を毎時の授業の記録簿に書くことによって、板書の重要さを再認識し、要点をとらえて書こうと努力するようになった。

サ 教科書を見る目が、以前より厳しくなった。

2) 生徒側

ア 学習予定表の配布によって、計画的に家庭学習に取り組み、テストに備えた学習をする生徒が増えてきた。

イ 予習的課題の提示によって、家庭学習の時間が増し、積極的に授業に参加する生徒が増えてきた。

ウ ノートの点検によって、ノート作りにくふうのあとがみられ、数学にやりがいを感じ、積極的に取り組む生徒が増えてきた。

エ 確かめプリントによって、学習についての反省をする生徒が増えてきた。

オ 確かめプリントの得点の平均をグループごとに算出させるようになって、グループ内の連帯感がまし、教え合う光景が以前よりみられるようになった。

 

◇講評◇

 

(一) 研究の原点を、常に生徒への還元に求めながら、綿密な計画のもとに継続的に、総合的に実践されたすぐれた研究である。

実践記録のあり方の方向性をもつものとして、モデル的であろう。

(二) 中学校でのこれらの成果を、今後小学校教育に積極的に生かし、小・中関連の中で小学校学習指導のあり方を追求してほしい。

〈注〉この実践記録は、中学校在職中のものをまとめたものである。

 

 

 


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