教育福島0028号(1978年(S53)01月)-014page
特選・実践記録
子供の創造性をひき出し創作活動を活発にするダンス(表現)・体操指導の実践
いわき市立第五小学校教諭 木村敦子
一、実践の趣旨
(一) 体育科における創造性
体育科の中で「つくる運動」とされているのは、ダンス(表現)と体操の領域である。体操はつくることを特性とし、ダンス(表現)の基本的な特性も「創作活動」である。したがって、計画的に創造性を育成する場として最適であると考えられる。
(二) 「つくる運動」における創造性の観点
「つくる運動における創造性」とは
1) からだによる表現、からだの動きによる創造であること
2) 集団による創作活動であることであろう。ものの見方、とらえ方、更に感情や思考を効果的に表現するために、からだの動きを、個人又は集団の力でつくり出すということにあると考える。
子供たちには、程度の差はあっても、すべて創造的な表現力を有している。これに着目し「つくる」過程を重視し、つくる喜びをはぐくむことが必要であろう。
(三) 創造性を引き出し高めるために
ダンス(表現)には、技能的な面も考えられると思うが、子供たちが自分なりに考えたり、くふうしたりしてつくり出す過程をたいせつにしたい。つまり、独自の表現であるなら、それはりっぱな創作である。
このような創作経験をじゅうぶんに持たせることによって、創造性が高められると考える。この場合、教師の外育観なり教材観なりが問題となってくる。
適切な場づくりや手だてを考えてやることが、子供たちの創作活動を活発にし、創造性の高まりが期待されるのではないだろうか。
二、実践の内容
(一) 「表現」の指導の実践
◇ 雪の日−−(四学年)
〈第一次〉
○内容にふさわしい動きを出させる
○グループで大体の筋をつくらせる
教師−−
「さあ、一人一人が雪の粒ですよ、ちらり、ちらり、空から白いものが落ちてきました。」
「だんだんふえてきました。あとからあとから落ちてきます。」
「風が吹いてきました。吹雪です。ピュー、ピュー、クルクルクル。」
児童−−
教師の話につれて、静かな動きからだんだんはげしくなり、回転したり走ったり、ジャンプしたりする。
教師−−
「雪がやみました。たくさん積もりましたよ。さあ雪かきです。ヨイショヨイショ、遠くの方へもホイッ。」
こんどは、スキーで滑りましょう。スーイ、スーイ、ツツツー、あっ、あぶない。」
「雪だるまをつくりましょう。ころころころころ、ヨイショ、ヨイショ、雪の玉がだんだん大きくなっていきます。ドッコイショ、ドッコイショ。たたいて固めましょう。」
児童−−
一人一人が、口伴奏を入れながらよく動いている。ユーモラスなふんい気になってきた。
[考察]
第一次取り扱いで、グループ活動に入る前の個の動きによるイメージのほり起こしの時間をたいせつにしたい。そのものになりきらせるための一種の暗示とでもいおうか。
表現の経験が豊富な学級の取り扱いの容易さを感じる。
教師−−
グループで「雪の日」のお話の筋をつくりましょう。記録係はカードに書きなさい。
児童−−
六人が顔をよせ合って、仲よく話し合っている。記録するのに時間のかかるグループの中には、筋に合わせて動きに移している者もあった。
[考察]
話の筋づくりが短時間にできるようになればしめたもの。リーダーの活躍が期待される。
このカードはイメージの深化拡大を図るポイントである。
月 日 四年 組 題名 雪の日 第○班 メンバー ○○○○○
○ ○ ○ ○
班 長 ○ ○ ○ ○
記録係 ○ ○ ○ ○お話のじゅんじょ
1、雪がちらちら降ってくる
2、だんだんはげしくなる
3、ふぶきになる
4、雪がやんでたくさん積もる
5、子供たちが集まってくる
6、遊びのそうだんをする
7、雪のたまをつくる
8、雪がっせんをする
9、また雪がふりはじめる
第二次、第三次とグループの練習と見せ合い、なおし合いの中で、子供たちから他のグループの動きはわかるが自分たちのことはわからないとの反省があり、VTRの使用を思いつきビデオテープで見せた。音声や周囲音も同時に入っているので、現実的で活気が