教育福島0028号(1978年(S53)01月)-015page
あり、自分の動きをみつめることから自分たちのグループの修正をするところに気づき、効果的であった。
創作活動を活発にする重要な手だての一つである。
(二) 体操指導の実践
資料その一−−(昭和四十二年度作製フィルム)
歩走、跳躍、ボールの投・捕など、指導要領に示されたもの以外に、子供たちとくふうしながらつくり上げたものである。
個の運動から、一連の運動をまとめようとの試みから、教材のセット化ということがまだ言われていない時代であったのに、歩走や跳躍を組み合わせて行っていたことを、今にして思えばよく考えついたものだと自信がつく。
手具として、ボール、とびなわを使用しはじめたころに、子供たちとともに曲に合わせた一連のボール体操、なわ体操を創作した。
・低学年向きボール体操
使用曲(娘さん)
前半の個の動きの組み合わせから後半は、グループに分かれて、それぞれちがった動きをくふうさせた。
自分たちで考えて作った体操ということと、はじめて映画で自分の動きを見たという喜びと感動は、かくしきれないようだった。
・低学年向きなわ体操
使用曲(キューピーの行進)
体、首、腕、脚などを主として部位的な運動の組み合わせをしたが、なわ本来の特性は跳躍にあり、これを生かせなかった面もあったが、柔軟性をつけることができ、子供たちも好んで行っていた。
資料その二−−(別紙手具の利用)昭和四十九年・五十・五十一年度小字校体育実技講習会で、講師として体操を担当した時に使用した、手具利用の手引きに見られる、子供の創作によるものである。
・高学年向きボール体操
使用曲(ケアレスワンチャチャチャ)
チャチャチャのリズムがたいへん気に入り、五年の子供たちが興味深くつくり上げた。個の運動から二人組となり、後半六人グループでそれぞれ異なった動きをくふうさせた。
・高学年向きなわ体操
使用曲(特別に作った曲)
先に創作したなわ体操の反省からなわの特性を大いに生かして、跳躍のみの一連の構成による。ピアノ曲に魅せられて、グループごとに競争してくふうをこらした。グループ発表会をもったが、すばらしい成果をおさめることができた。一回旋一跳躍、振り足とび、かけ足とび、片足とび、二回旋一跳躍、あやとび、後ろとびなどの組み合わせによる。
(三) 運動会のダンス指導の実践
マスゲーム的表現と、体操とを組み合わせた例−−
・モントリオールへの道 (六年)
使用曲(聖者が町にやってくる)
東京オリンピックの年に誕生した子供たちも六年生になり、モントリオールオリンピックに思いをはせて創作させた。
〇女児
五人グループで、それぞれ五色のリングを一つずつ持ち、五輪を表現する動きづくりや隊形の変化をくふうさせた。たくさん出たものの中から話し合いでまとめていった。
〇男児
女児を中にして、トラックで主として座臥(ざか)、柔軟、倒立、回転などの体操を組み合わせくふうさせた。
表現に創意をこらす児童たち
[反省]
従来、五、六年男子は運動会にダンスを行わなかったが、男子を加えたところ、その喜びようは、ひととおりでなくやらせてよかったと思う。
男子に白手袋をさせ、パッと手を挙げただけでも効果があったが、これが後日作文に、「手袋をつけたら、かっこよくて、むしょうにやる気が出てきた」とあり、小道具のよさもわかった。
女子の創作意欲は盛んで、五輪の小円から中円へ、十字行進から直線や大円へと、いく通りもの隊形の変化を創作し、教師の助言などいらぬほどの成長ぶりは、うれしかった。
この学年は、三年から継続して四年間指導してきた学年であることを、つけ加えたい。
◇講評◇
(一) ダンス(表現)・体操領域の指導を、創作活動を活発にする最適の場としてとらえ、授業及び学校行事の中で実践した、優れた記録である。
(二) 創作ダンスは、個人や集団でリズミカルな感情のあふれた動きをくふうし、自然や生活事象・生活感情などを美しく表現する運動である。
その特性に応じ、感じのこもった創作活動を、八ミリ映画フィルムに収録したことは適切である。
(三) 手具などを使用した「つくる体操」「ゲーム化」のくふうはすばらしいが、その体操が、主として何を目的として行うものであり、それが、児童の生活にどのようにかかわっていったかを、はっきりさせながら実践していくことを考慮していきたい。