教育福島0028号(1978年(S53)01月)-017page

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るために、次の点に留意して指導してきた。

・ 「問題をつかむ」段階の指導を重視すること。(資料の提示)

・ 間接指導の構成を重視すること。(SFの活用)

・ 観察点の焦点化を図ること。

・ 記録することにより思考を深めることを重視すること。(記録の取り方)

・ 児童の自主的研究を推進させること。(自由研究)

 

図3 まめでんきゅう単元構造図

 

○ 単元構造図の利点

○ 単元構造図の利点

・ 上学年、下学年の学習内容を容易につかむことができ、内容の異程度を明らかにすることができる。

・ 中心観念、基本要素にせまっていく授業を志向することができる。

・ 学習を単に知識のつめこみでなく、系統的、発展的に行うことができる。

・ 他の単元間の関係を中心観念や基本要素に照らし、関連的につかむことができる。

・ 両学年の教材配分を検討し、間接指導、直接のめやすを容易につかむことができる。

 

3)学習のしかたの訓練(課題3)

ア、基本的に発言のしかたの訓練より発表力を育成した。

イ、指導の基本過程によって探究活動の自発化、協同化を図った。

ウ、「科学の方法」における技能訓練を通して科学的な見方考え方、扱い方を高めることに努めた。

エ、シート式磁気録音機の操作聴取能力訓練を通して間接指導の充実化と、児童の活動の主体化を図った。

4) 援業の体質改善(課題4)

ア、探究過程を複式授業に導入して授業の組織化を図った。

イ、教師と児童による教育機器の活用を図った。

ウ、児童の学習反応を高めるため、教師の発問について精選を図るようにした。

工、児童の実態は握にたっての教材研究を重視した。

・ 児童の興味、関心、既習学習の定着度等の実態を明らかにするための傾向調査の実施。

・ 教材を構造的にとらえ、両学年の教材関連を明確にし複式指導の効率化を図るため単元構造図の作成。(図3)

オ、事後研究により、研究と実践の共通化を図った。

・ 授業観察視点の設定による授業の分析

・ 教師の発問、児童の反応等の記録による指導法の研究

 

三、成果と反省

文部省指定校として二年間の研究であったが、次のような研究成果をあげることができた。

1) 学習の取り組みが主体的になり、授業が生き生きとしてきた。

 

主体的に実験に取り組む児童たち

 

主体的に実験に取り組む児童たち

 

2) 個人思考と集団思考の場の設定が適切になり、児童の科学的思考の深まりが一段と見られるようになってきた。

3) 児童の実験技能が高まり、学習記録の取り方も向上してきた。

4) 小集団学習活動の活発化により、児童の連帯感が高まってきた。

5) 調査の結果では、学習の構えが前向きとなり、学力も望ましい方向に変容してきた。

6) 教育機器を効果的に授業の中に取り入れられるようになり、間接指導での児童の学習が充実してきた。

7) 指導過程の組み立てが容易になり直接指導と間接指導のわたりが適切になってきた。

指導要領(指導書)のは握がより的確になり、教材に対する見方が深まってきたことなど教師自身大きく変容してきた。

このことは、研究当初より児童の変容を最大の目標として、教師一同共通理解に立って毎日の授業に全力を挙げたことによる。校長以下六名の教師が三つのペアを組んで協力研究を進めてきた態勢などは特記にあたいする。

複式三学級という小規模校であるが数多い授業研究と研究協議を重ね、研究と実践の共通化、客観化を図った謙虚な研究態度であったことを記したい。

 

 

 


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