教育福島0028号(1978年(S53)01月)-025page

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定されたコースを正確に進みながら、その途中に設定された、いくつかの関所(関門)を通過するために、グループ全員の協力と衆知によって問題を解く、班別対抗の競技である。

子供たちにとって、未知のコースをたどる不安感の克服や関所での意外性、コースの選択における的確な判断などに、強い魅力を感じるようである。全コースを踏破して、ゴールで汗をぬぐう気分は、まさにそうかいといえよう。

(3) オリエンテーリング(OL)

広大な山野の中に設けられたポストを求めて、他のチームと競いつつ走り回るOLは、心身の鍛練と正しい判断力、読図力、更にはペアの協調性を高めるために最適な、すばらしい競技である。当所では、主に初心者向きのスコアOLを採用している。三十三万平方メートルの山野に設置した固定ポストを、絵地図をたよりに探し、ポストに付された点数を、短時間に数多く集めるのを競うものである。手をつないでゴールする男女ペアの表情には、喜びと満足感があふれ、この感動の一瞬は容易に忘れ得ない体験となろう。

 

山野のポストを求めてオリエンテーリング

 

山野のポストを求めてオリエンテーリング

 

(4) 野営場と炊飯活動

野営場に建つロッジ七棟(とう)、二つの炊飯場、四十張が設営されるテントサイト。ここを舞台に野外宿泊活動が展開される。

現代っ子は、消費経済生活の発展に伴い、自然の中に起居し、自分たちで食事をつくり、不自由さの中でくふうして用具を使うなど、失いかけている。仕事を分担し、その実践を通して、責任、協同のたいせつさに気づかせ、テント設営や炊飯活動によって、家庭への感謝の気持ちや協力する意欲を高めることができる。

(5) サーキットコース

谷間にかけられたつり橋、広場にそびえ立つ丸太のやぐら、空中に設定されたロープトンネル………

これらは、当所の特色ある研修活動の一つで、サーキットコース上の施設である。起伏と変化に富んだ山野に、周囲の立地条件を生かした、全長二キロメートルのコースには、五十六のポイントがある。道標をたよりに進みながら、ポイントに付された指示に従って行動し、子供たちの興味や冒険心を満たしながら体力づくりを図っている。

 

浜通りの子供たちのそりすべり

 

浜通りの子供たちのそりすべり

 

(6) ゲーム遊び

「子供にとって、遊びは学習である。」といわれる。テレビの画面に釘づけになったまま、余暇を過ごす子供たち。そんな現代っ子に、いろいろな遊びの経験を与え、ここでの遊びの体験が次の遊びの領域拡大につながるようなゲームを試みている。例えば、野外での旗とりゲ−ムでは、広大な地形を生かして陣地を構築し、攻防相みだれての紅白旗争奪戦が展開される。引率教師も童心にかえってのゲーム参加を見るにつけ、ほほえましさを感じる。

(7) 登山

五月から十月にかけては、海抜八百七十六メートルの御霊積(これいひつ)峠への登山に人気が集中する。

登る苦しみが、頂上に近づくにつれて、楽しみに変わっていく登山では、互いに助け合い、自己の体力にちょう戦し、完登する喜びと成功感を体験させる、よい研修の機会である。堀口浄水場から山頂まで七キロメートル、小学校低学年でも登ることのできる、往復六時間のコースである。

(8) そり遊び

吹きすさぶ寒風、手がかじかみ、ほほに雪がつきささる。こんな冬の自然のきびしさを体験させようとの考えから、浜通りの研修団体の冬季間利用が多い。

野も山も雪に包まれた白銀の世界を、雪けむりを上げて突進する、冬の遊びの花形そりすべりは、そのスリルとそうかいさに人気が集中し、終日、ゲレンデに歓声が絶えない。

 

四、終わりに

利用団体の多様化と同一人の利用ひん度の増加に伴い、従来の研修内容に検討を加え、より充実を図るとともに新しい研修活動の創造が、当所の課題である。

本年度においては、小学生や中学生の発達段階に対応できるような、ハイキングや登山コース及びオリエンテーリングの開発を進めているところであるが、今後もユニークな研修活動が展開できるような、少年の城づくりに努力を傾注したい。

 

 

 


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