教育福島0030号(1978年(S53)04月)-028page

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次に、幼稚園・保育所の在園・在籍の状況をみると表2のとおりである。

園児数は国公立幼稚園が一万三千三百三十八人、私立幼稚園が二万一千八百九十一人で、国・公立は全体の三八%−私立幼稚園は六二%である。(表2)

さらに在園・在籍率についてみると五歳児で七〇・九%、四歳児で四〇%となっており、保育所の在籍率は五歳児が一八・九%、四歳児では二一%となって、これら施設に在園又は在籍している幼児が、幼児人口に占める比率は、五歳児は八九・八%、四歳児は六一・〇%で、五歳児のほとんどは幼児教育を受けていることになる。(表2)

しかし、昭和五十一年度の「教育調査報告書」(福島県教育委員会編)によれば、小学校区数六百九十二に対して幼稚園と保育所を設置している小学校区数は、百十八(一七・一%)、幼稚園だけ設置しているところは百五十六(二二・五%)幼稚園も保育所も設置されていない小学校区数は三百三十六(四八・六%)で、約半数の小学校区には幼稚園も保育所もない現状である。(図1)

さらにこのことを市町村別にみると県内全市町村九十のうち幼稚園未設置町村は十五町村、保育所未設置町村十九町村、幼稚園・保育所とも未設置村は五村となっている。

次に教員数についてみると、昭和五十二年五月一日現在、教員総数は千九百四十八人(本務者千五百八十人、兼務者三百六十八人)で前年度より本務者百七十五人、兼務者二十一人が増加している。これを国公私立の別に分けると、国公立幼稚園には九百十人、私立幼稚園には千三十八人が勤務している。男女構成は、男子四百十六人(二一・二%)で、うち百人は本務者、三百十六人は兼務者である。本務者のうち園長は七十八人、教諭二十二人で男子の教員のほとんどが園長である。

また、園長については、専任園長は公立幼稚園では八人、私立幼稚園では十五人で全園長の一九・七%となっている。

 

図1 幼稚園・保育所設置状況

 

二、幼児教育の拡充

 

二、幼児教育の拡充

 

(一)幼稚園と保育所との関係

幼稚園は学校教育機関であり、保育所は保育に欠ける児童の保育を行うものであって、両者の目的は明らかに異なるものである。従って、それぞれ異なった機能をもつ幼稚園と保育所との関係を認識したうえで、それぞれの目的、性格にそって普及充実を図ることがたいせつである。

文部・厚生面省においては、幼稚園と保育所との関係について、昭和三十八年十月協議を進めた結果

1)幼稚園は幼児に対し、学校教育を施すことを目的とし、保育所は「保育に欠ける児童」の保育を行うことを、その目的とするもので、両者は明らかに機能を異にするものである。現状においては両者ともその普及の状況は不じゅうぶんであるから、それぞれじゅうぶん機能を果たし得るよう充実整備する必要があること。

2)幼稚園においては、今後五歳児及び四歳児に重点をおいて、いっそうその普及充実を図るものとすること。

3)保育所のもつ機能のうち、教育に関するものは、幼稚園教育要領に準ずることが望ましいこと。このことは、保育所に収容する幼児のうち、幼稚園該当年齢の幼児のみを対象とすること。

4)幼稚園と保育所それぞれの普及については、じゅうぶん連絡のうえ計画的に進められるものとすること。この場合、必要に応じて都道府県又は市町村の段階で緊密な連絡を保ち、それぞれの重複や偏在を避けて、適切な配置が行われるようにすること。

5)保育所に入所すべき児童の決定に当たっては、今後、いっそう厳正に行うようにするとともに、保育所に入所している「保育に欠ける幼児」以外の幼児については、将来幼稚園の普及に応じて幼稚園に入園するように措置すること。

等について、両省から都道府県に通知され、市町村長等に対する指導が行われた。

このことを受けて、本県においては昭和四十四年に「福島県幼児教育振興連絡協議会」を設け、福島県における幼児教育の振興を図ることとなった。その主な内容は、

○幼稚園及び保育所の整備拡充に関する連絡調整

○幼稚園及び保育所の配置に関する連絡調整

○その他幼児教育の振興に必要な連絡調整等である。

さらに、福島県総務部長、厚生部長教育委員会教育長が三者協議のうえ、市町村に対し「幼稚園教育振興審議会(仮称)」の設置を促し、幼稚園及び保育所の適正配置とその拡充を図るよう指導を進めてきた。

 

(二)幼稚園と小学校との関連

幼稚園は小学校の準備教育機関ではなく、幼稚園独自の教育的機能を果たしながら、小学校教育に受け継がれる

 

 

 


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