教育福島0030号(1978年(S53)04月)-029page
べきものである。したがって、幼稚園における教育内容を更に明確にするとともに、それらが小学校教育内容と密接な関連をもつようにしなければならない。そのためには、幼稚園教育と小学校教育の違い、あるいは両者の一貫性等についてじゅうぶん検討し、幼稚園教育の特質を生かした指導が行われるようにする必要がある。
更に、小学校の教育課程の改訂に伴う低学年の指導内容や指導のあり方等についても理解を深め、指導の関連を図ることがたいせつである。
(三)幼稚園の新増設と未設置町村の解消
幼稚園の就園率は年々上昇し、五歳児は全国平均を上回ったが、地域別にみるとその格差が大きい。幼児教育に対する社会の期待も強いことから、就園率の低い市町村については年次計画により施設の拡充整備をし、就園率の向上に努める必要がある。
また、公立幼稚園で二年保育を行っているのは八十園(三八・一%)である。このようなことから、公立幼稚園も国の幼稚園教育振興計画にそって、二年保育を検討する時期にきていると思われる。
したがって、本県においては未設置町村の解消・二年保育の検討などあわせ考えながら施策を進めていく必要があろう。
次に、「幼稚園数」の推移についてみると、公立幼稚園数がここ十年間に急速に増加しているのに対し、私立幼稚園では、昭和四十四年度から横ばいとなり、四十七・四十八年度は減少さえしている。(表3)これは入園適齢児の減少、公立幼稚園との競合、私立幼稚園の経営が困難なことなどのためと考えられる。私立幼稚園が幼稚園教育の充実に果たしてきた役割の大きいことから考えて、更に私立幼稚園の発展充実を図らなければならないであろう。
このようなことから、私立幼稚園に対しても財政的な援助をし全県的な立場で幼稚園教育の充実発展を進めて行くことが必要となろう。昭和五十二年度においては、私立幼稚園百四十六園中法人立九十七園、個人立三十九園であることから、個人立幼稚園を法人立に転換していくことも考えなければならないであろう。
なお、幼稚園の新増設に当たっては周辺の幼稚園及び保育所との関連を考慮し、適正な配置が行われるよう関係機関への働きかけが必要である。
三、幼稚園教育内容の充実及び指導力の向上
(一)各種研修会の充実
幼稚園教育の振興は幼稚園の設置数や就園率の向上だけに止まるものではない。従って、地域の研修をはじめ県で行う研修会などじゅうぶん検討して効果的に進め、教育内容・方法の改善・指導力の向上に努める必要がある。
次にその主な計画をあげてみる。
○幼稚園教育課程研究集会
福島県公立幼稚園研究会が組織的に研究を進めているもので、例年十月から十一月ごろ、県下六方部で研究発表会を行っている。県教育委員会は、この研究集会がより充実するよう地区ごとの研究会の援助指導に努めている。
○幼稚園教育指導者講座
本年度は八月二十二日から二十四日まで、二泊三日の予定で教育センターを会場として実施する。県内幼稚園の指導的立場にある教員(百人)を対象に指導力を高め資質の向上を図るため、幼稚園教育の内容・方法について研修を行うものである。
○幼稚園実技講習会
本年度は、七月二十四日から三十日まで、郡山女子大学を会場として実施する。今回は幼稚園教育要領の中から「言語」指導について、実技に関する研修を行い、担当教員の指導力の向上に努める。また、この講習会は上級免許状の授与を受けるために必要な単位の一部を修得させることも目的にしている。
○幼稚園新任教員研修会
公・私立幼稚園の新規採用教員に対し、幼稚園教育の基礎・指導計画の作成と展開、指導方法等について講義・演習・実習をそれぞれ二日間ずつ行い、幼稚園教員の指導力の向上を図る。これは本年度から実施するものである。
○「幼稚園教育指導資料」の作成配布指導計画の改善・充実を図り、幼児の健全な育成に努めるため「週・日の指導計画例」を作成し、本年度当初、各園に配布した。各園ではこれらを活用し地域の実情、幼児の実態、施設設備や教員数などを考慮し望ましい指導活動が展開できるように期待している。
(二)指導の実際と今後の課題
各種研修会や実践を通して指導の充実・改善が年々なされてきている。以下それらの研究会で取り上げられた研究課題の中から今後の指導に役だつと
表3 幼稚園数の推移(注)「昭和51年版青少年白書」
年度 公立 前年比 私立 前年比 42 78 9 134 9 43 90 12 136 -2 44 107 17 140 4 45 119 12 140 0 46 134 15 140 0 47 161 27 130 -10 48 175 14 130 0 49 186 11 130 0 50 191 5 136 6 51 197 6 139 3 52 210 3 146 7