教育福島0030号(1978年(S53)04月)-040page
研究実践紹介
数量や図形の概念を理解させるには,操作的な活動をどのようにとり入れたらよいか
福島市立福島第二小学校
一、研究の内容と方法
(一)研究主題について
児童がある概念を獲得する場合、手足を動かし、(半)具体物等を使い感覚的に体得するものであると考える。
特に低学年ではこれが概念形成の重要な手がかりであり、算数を楽しく学習させる一つの要因とも考えられる。本校では、「どんなものを、どのように操作させるべきか。」「ある概念が形成されたということはどういうことか。」等概念形成と操作的な活動のかかわりを究明してきた。
(二)研究の全体計画
1)研究の方針
ア数量や図形の概念を理解させるために操作的な活動を取り入れた効果的な指導事例を見い出す。
○操作的な活動について「何を」「どのように」操作させるか究明する。
○操作的な活動を一単位時間のどこに位置づけるか究明する。
○操作的な活動のできる教材を数多く選定する。
イ研究のねらいや内容について共通理解を深め、責任を分かち推進する。
ウ研究内容、時期、方法、到達度を明確にし、研究成果を記録累積する。
2)研究の組織
低学年を研究組織の中心にしながら中、高学年でも操作的な活動の研究を進める体制づくりをする。
ア全体組織
校内の研究組織図
イ各ブロック組織
ブロック 学年班 協力学年 低学年(主任) 一年 三・五年 二年 四・六年 中学年(主任) 三年 四年 高学年(主任) 五年 六年
○低学年の研究は協力学年の参加で全体研修とする。
(三)研究の方法
研究実践の手順は、次の過程をふまえて進める。
1)事前研究では、教材分析を中心に操作的な指導例を考え出し、その中で一番望ましいと思われる方法について話し合い研究を深める。
2)望ましい操作的な活動に必要な既習事項の理解度を調べる。
3)実態をもとに指導過程を組織し、実践して反省をする。
4)反省をもとに指導過程を改めて研究し、実践反省する。
5)操作的な活動を通して得られる概念理解の度合いを調べ反省する。
二、主な研究実践例
1)「いれものの大きさ」 一年
かさの多少比較で、操作的な活動は実際に容器に水を入れるなど、水遊びを通してかさの概念の素地づくりに力点がおかれた。同じ容器での水の多少比較は高さでできることはわかっていたが、異なる容器でのかさの比較では同じ容器に入れかえればよいという着想はむずかしく指導のてだてをくふうすることがたいせつである。
2)「たしざん−2−」 二年
本時のくりあがりのたしざんでは、まず、おはじきだけの自由な操作により、数が大きい場合の数えたしの不便さに気づかせ、さらに一本の座紙の操作により補数の考えを使って早く正確に計算できることに気づかせようとした。その結果、座紙一本では十のまとまりを作るという操作の主眼は達成されるが加数がどう分解されるかという観点から見ると、分解の印象がうすいように思われた。座紙の必要性に気づかせる指導のてだてにくふうの余地が残った。
3)「長さ」 二年
赤いテープと青いテープの長さくらべをして、二つのグループがそれぞれの個別単位でいくつ分違うか調べさせ、はかるものによって数値が違う不便さから、普通単位の必要性に気づかせようとした。一センチメートルという単位を具体的な操作を通して導入