教育福島0030号(1978年(S53)04月)-041page

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したが、その必要性に気づかせる指導のステップにくふうの余地が残った。

4)「はこの形」 二年

箱に合わせて紙をはるという具体的な作業課題によって、児童が必要感を持って箱の面にあう色紙の形を選び、さらに切って重ねるという操作を通して箱の面の形や数や大きさに着目させようとした。その結果、箱の面の形や数や大きさについては、具体的な操作で比較的容易に選び出すことができたが、「むかい合った両」などの関係的な意味を表す用語の指導はむずかしい。

5)「おもさ」 三年

二つの物体の比較を通して普遍単位キログラムの導入をした。

計器は木製のてんびんを使用し、ノートと教科書くらべの方法を考えさせ、グループごとに操作させた。普通単を位の必要性に気づかせるには、もう一段のくふうがほしいし、グラムとキログラムの導入の順序についても今後の課題である。

6)「面積」 四年

本時では、面積の素地である広さくらべを通して、任意単位をいろいろと考えさせた。単位として、正方形、長方形、平行四辺形、門などでしきつめをはかったが、その他、単位になるものを自由に考えさせ、思考をねりたい。また、グループ活動のさせ方なども考えたいものである。

7)「四角形と三角形の面積」 五年

本時は鋭角三角形の面積の求め方を具体的な方眼紙上で既習の図形に変形させれば面積が出せることから、グループごとに発表、話し合いをさせた。既習図形への変形は求積公式を作り出すという観点で進めないと、変形のための変形になるので注意が必要である。

8)「反比例」 六年

面積が一定で、たての長さが横の長さに反比例するとき、横の長さもたての長さに反比例することから、互いに反比例することを導いた。実際に変化していくようすを表や図に表していくのは動的にとらえるにはよいが、児童に思考をじゅうぶんにさせる時間と提示問題については一考を要する。

 

「はこの形」−2年−

 

「はこの形」−2年−

 

三、研究の成果と問題点

(一)操作的な活動を取り入れた場合の効果

1)事物を具体的に操作させることは児童に興味関心をひきおこし、学習への意欲を高める。ある概念を理解させるのに操作的な活動をさせると、もくもくと活動し、ある結論を得ようと努力する。生来、児童は操作という手足を動かして考え、体得するのが好きのように思われる。

2)操作する活動を通して、自分で考えると同時に、創意くふうができるようになる。児童は(半)具体的な事物を使うことによって新たに気づいたり、新しいものを発見したりして喜ぶものである。

3)操作を通して、他の友達との操作の比較ができ、より望ましい操作が生み出せるようになる。操作は、一つの目的に至るまでのプロセスでもあるから児童各人にいろいろな操作を発見させ比較させなければならない。

4)操作的な活動は児童に多くの考え方をさせることができる。操作的な活動は方法的なものであり、児童の操作は多方面にわたる。その多方面にわたる操作は、それぞれある思考がうらづけられている。一つの操作は一つの考え四十人の操作は四十人の考えというように、多くの考え方をさせることができる。

5)操作することによって自分の思考の確かめができ、思考がより確実なものとなる。自分の思考が妥当かどうか(半)具体物を使って操作することによって確かめることができる。操作ができることは、ある思考がなされていることであり、自由に操作させることによって、自分の思考の正しさをみずから証明することができる。

6)児童が算数をみずから作り出す素地をつくる。

課題が与えられると児童は(半)具体物を操作してある概念を獲得しようと努力する。このことは未知のものに対して積極的に取りくもうとする態度を育て、みずから算数を作り出す児童の素地をつくる。

(二)操作的な活動と今後の研究の方向

今後は、次のような点について研究を深めていきたい。

1)操作的な活動が有効にとり入れられる題材の選定

2)児童の操作を通して考え出したものを最大限に尊重する指導法

3)操作によって出された児童の考えのまとめ方

4)児童が意欲を持ってうちこめる操作的な活動の課題設定のあり方

5)一単位時間内の操作的な活動が、単元全体の中で位置づけされるような系統性のある操作的な活動のくふう

6)操作的な活動を通して得られた概念についての評価のあり方

 

 

 


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