教育福島0031号(1978年(S53)06月)-007page
いて第一位を占めており、集団での行為が目立っている。その手口で、万引き、空き巣が多いのは、従来から同様であるが、最近、自動車、オートバイ自転車盗み、車上ねらい、部品盗み等車に関係する窃盗が急増してきている。手段が容易であり、児童生徒の興味、関心に結びつくとともに、遊び型の色彩が強い。(図1、表2参照)
図1 窃盗少年(小中学生)の手口別状況
(福島県警察本部防犯少年課調べ)
表2では、主なる事故等の男女別内訳を示したが、家出においては、女子中学生の増加に注目したい。また、二人以上の集団での家出が多くなってきていることも最近の特徴である。
自殺は、過去五年間に小学生は本県では一人もいないが、中学生の場合、昭和五十年を除いて毎年二〜四件発生している。
登校拒否は、学校基本調査により、前年度五十日以上の長欠者で、理由が「学校ぎらい」の児童生徒数をあげたが昭和四十八、九年と比べると減少してきている。このことは、各小中学校における学業指導や家庭、関係機関との連携による成果と受けとめたい。
(二) 対策
非行や問題行動の防止対策については、各小中学校において具体的な施策を樹立して努力しているが、ここでは前述の非行や問題行動の実態、原因や動機等をとらえながら、その対策について考えてみたい。
1) 実態をとらえる
「学校の実態をとらえ、即応する指導計画を立てるにことが強調されている。
例えば、自動車・バイク等の無免許運転を防止する指導に当たって、単に「最近この種の事故が多いから」ということだけでは教師自身指導に当たる構えに甘さが生じないとはいえない。
近年、自家用車やバイク等を持つ家庭が多くなってきており、特に農村地域では、耕うん機等による農作業の手伝いを生徒たちにさせている実態もあることにかんがみ、自動車やバイク、耕うん機の運転ができる。又は、したことがある生徒の実情を明確にとらえる必要があろう。機械類に興味をもつ年代であり、予想以上の運転経験生徒が出てくるかも知れない。
調査の結果、担当数の生徒が出てきたとすれば、指導の対策としては、運転経験生徒を対象とするものだけでなく、他の生徒に対してもじゅうぶんな配慮のもとで指導する必要が生じてこよう。
なぜなら、そのような実態から考えられることとして、中学生の心理からいえば、「自動車やバイクの運転ができるのは普通」、「運転できないのははずかしい」という考えが出てきやすいことである。もしも、このような考えが生徒の内面に生じているとすれば「運転をしてはいけない」という教師のことばによる指導だけで納得しない生徒も出てくるのではなかろうか。
このように、自校における問題のありのままの様子をとらえたとき、この問題の解決になんとしても取り組もうとする教師の決意・意欲がみなぎり、指導の計画は生きて実践されるのである。(指導計画までは作成されるが、実践がうまくいかないということがあるが、このような場合、自校の実態から問題点をどれだけ全職員がつかんでの指導となっているか検討してみる必要があろう。)
無免許運転を例として実態は握をもう少し続けよう。
ア、 運転している数はわかった
イ、 どのように運転しているか
事故報告書から共通点をあげてみると、
表1 児童生徒の補導状況(各年1月1日〜12月31日)
小中別
年別
非行別小学生 中学生 昭48 49 50 51 52 昭48 49 50 51 52 刑法犯(犯罪触法)少年 577 435 449 487 437 879 692 599 708 743 特別法犯少年 11 3 3 0 9 6 24 21 ぐ犯・不良行為少年 807 77 2653 621 434 1,938 1,857 1,870 1,863 1,245 総数 1,384 1,218 1,105 1,111 871 2,817 2,558 2,475 2,595 2,009 1000人当たり比 7.3 6.5 6.0 6.1 4.8 25.3 25.4 53.9 25.8 20.4 (福島県警察本部防犯少年課調べ)
注) 刑法犯少年 刑法に定められた罪を犯した犯罪少年及び触法少年
特別法犯少年 刑法に定める以外の法令の罪を犯した犯罪少年及び触法少年 (銃刀法,火薬類取締法,毒劇物法・軽犯罪法違反等)
ぐ犯・不良行為少年 飲酒,喫煙,けんか等自己又は他人の徳性を害する行為をしいる不良行為少年
家出又は不良行為をする性癖があり,性格,環境に照らし、将来罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのあるぐ犯少年の総称
表2 主なる事故の発生状況(各年1月1日〜12月31日)
小中別
年別
事故別小学生 中学生 昭48 49 50 51 52 昭48 49 50 51 52 窃盗 518 400 401 434 401 780 619 549 678 692 家出 男子 20 17 21 29 18 80 45 74 67 69 女子 10 6 13 4 3 55 47 56 63 67 計 30 23 34 33 21 135 92 130 130 136 自殺 男子 0 0 0 0 0 0 2 0 2 3 女子 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 計 0 0 0 0 0 2 4 0 2 3 *学校ぎらい・長欠 37 40 27 28 114 123 109 119 (福島県警察本部防犯少年課調べ)*印は昭52学校基本調査