教育福島0031号(1978年(S53)06月)-016page

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示すものであること

○生徒をとりまく環境の実態を反映させる計画の立案と、他教育計画全体との調和のとれたものであること

○計画は教職員の組織構成をじゅうぶんに配慮し、実情に即して作成し、形式や体裁にとらわれることのない、教師が最も必要とするものを作成すること

などの点があげられる。

いずれにしろ当面する生徒指導上の諸課題に対応していくためには、何よりも全職員の共通理解と、その上に立った指導体制づくり、そのあり方が重要であるといえる。

なお、教師間の共通理解については共通歩調での指導ということが強調されなければならない。しかしそこにはそれぞれの教師が生徒指導の理念や方法、態度などに共通理解をもち、お互いの密接な協力のなかで、教師それぞれが個性的な存在としてそれぞれの立場と役割の面から、その特色を生かしていくことがたいせつなこととなってくる。

また、それに指導教師の一貫した心構えや態度とあわせ、指導技術を身につけるのみでなく、教師自身の態度についても積極的な姿勢を示すことも望まれてくる。

(二) 生徒指導の推進のため、研修を進める。

生徒指導を進めるに当たっては、常にその現状について反省を行い、より効果的な推進をするために積極的に機会をとらえて研修をし、相互に啓発しあい、共通理解を深める必要がある。

研修をすすめるに当たっては、学校教育の中のあらゆる活動はなんらかの意味で生徒指導に役立つが、やはり生徒指導に関する組織的な計画をもつことが必要であり、直接に生徒指導そのものを対象とした研修計画の位置づけを明確にしておきたいものである。

そのための基本方針として、次のようなことが考えられる。

○教師一人一人が、すべて生徒指導について、正しい理解をもつようにする。

○生徒指導という観点から現況を分析して、問題点を発見し、その打開策や解決のために全職員が意欲を高める。

○研究テーマを選んで、全職員共同による実践的な研究を推進するようにし、研究、即、研修という形ですすめる。

○ 研究の成果については、更に、これを校内の研修資料として活用できるようにする。

そして、これを具体的に実践するために、

○研究・研修のための組織を改善すること

○研究・研修の推進に当たる担当部門の役割を明確にすること。

○研究・研修に要する時間を生み出すこと

○研究・研修の方法について工夫すること。

などが望まれている。(文部省編、生徒指導資料「生徒指導の推進体制に関する諸問題」)

 

二、 教育相談活動の充実

 

(一) すべての生徒のための教育相談の充実

今日の教育相談は、本来、一人一人の生徒の教育上の諸問題について、本人またはその親、教師などにその望ましいあり方について指導助言することであるといわれている。

個人のもつ悩みや困難を解決してやることにより、その生活によく適応させ、人格成長への援助をはかるところに教育的意義が大きいとされている。

この適応とは、精神的健康状態にあることといわれる。これは、健全な生活の目標をもち、学業、生活において満足感と幸福感を持って、仕事の能率が高く、心が柔軟で考え方に弾力があり、対人関係がよく保たれている状態の人格をさしている。

教育相談のねらいは、これらを妨げる条件を解決あるいは改善しうるように生徒を援助することにある。

さきに文部省指定の生徒指導研究を進めた。白河女子高校では、実態調査の結果から悩みや不満を持つ生徒が多数いるところから教育相談への取り組みが始まり、現在県指定の生徒指導研究推進にあたっている。福島高校でもほとんどすべての生徒が悩みを持ち、それも学業生活上の悩みをもつものが多数いるところから教育相談への取り組みの研究へと進んでいる。

この点から見ても教育相談はすべての教師が、すべての生徒に対して行うべきことを示している。いいかえれば教育にたずさわる教師はすべてその専門のいかんにかかわらず相談の役割を果すべきことを教えている。

また生徒のすべては、なんらかの意味で相談によって解決すべき問題を持っていると考えねばならない。そしてとかく教育相談は、不適応の問題生徒の予防または早期発見と早期対策にあると考えられがちであるが、そのような消極的機能だけでなく、正常なすべての生徒の能力を最大限に発揮できるようにという積極的、開発的な援助の機能をもつものであることを認識しなければならない。

以上のことから学校における教育相談は、学校内のすべての教師が、共通理解のもと、学校全体として、取り組むという体制の確立が必要となる。また学校内の分掌組織の中にも正しく位置づけられるということも重要となる。

しかし、教育相談を、学校内で実施する場合、当然一定の限界があることはいうまでもない。なかでも医学的な問題については医師の取り扱う領域である。病院やその他の医療機関との密

 

 

 


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