教育福島0031号(1978年(S53)06月)-020page

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十一年二月県一本化したものである。活動は、学校や単位PTAのいわば、「点」の生徒指導に対して、地域における、すべての学校の、あらゆる生徒を対象とした「面」の組織活動であり、スローガンとして"地域ぐるみの生徒指導"をかかげている。これは全国的にも全く例を見ないユニークな組織である。

現在の主な活動内容には

○地域環境の調査と浄化

○生徒の保護、補導、育成

○地域住民の啓蒙、研修会の開催

○関係諸機関、団体との連携

などがあり、県高校生活指導協議会の指導、助言のもと時代の進展に即応した活動を展開している。

なお、この活動は、会津ブロックを除き、他は高校生のみを対象としたものである。今後は、活動対象に小中学生も含めたもの、そして、それぞれの関係機関、団体との連携を密にした幅広い活動にしていくことが課題となってきている。

また、町ぐるみで、子供の健全育成を図ることを目標に、数年前から小高町に「児童・生徒生活指導協議会」が結成されている。

これの参加者は、小中高校長及び生徒指導担当者、それに、PTA保護委員会、町教育委員会、婦人会、消防団青年会、町内会の代表で、町内の関係諸機関、団体の大部分がもうらされている。活動内容は、地区懇談会、親子座談会、広報活動などで、地域に密着した活動が進められている。さらに充実した活動の展開が期待される。

「いわき市未成年者の喫煙をなくす運動推進会」は「未成年者の喫煙をなくそう。」と五年前に結成された。もちろん青少年の非行化を防止し、健全育成を図ることもねらいの一つである。この運動の先頭に立つ会長は医師、参加者は小中高校の指導担当者、少年センター、保護司、保健所、デパート、喫茶店組合、飲食店組合、婦人団体の代表有識者など市民サイドで組織されている。その主な活動内容は、

○たばこの害のPR

○たばこ自動販売機にステッカーちょう付

○新聞への折り込み広告(未成年者の喫煙をなくそう。)

○禁煙列車の運行陳情

などである。現在市内を十二方部に分け、方部ごとの具体的な活動展開に取り組んでいる。

このほかにも、県内各地に、さまざまな実践例を見ることができるし、特に最近は生徒の非行などの増加に伴いそれぞれの地域において、生徒指導に対する認識と関心は急速に高まっている。

従ってそれぞれの地域においては、従来からの組織や指導体制を点検し、さらに充実強化するとともに、その成果を県内一円に拡大することが急務となってきている。

県教育委員会としても、本年度から「地域ぐるみの生徒指導」の推進モデル地域として郡山市を指定し、ここで得た成果を全県内に広める計画である。このモデル地域における研究・推進の具体的内容として、次のようなことを期待している。

○地域ぐるみの指導体制のあり方

○地域の児童・生徒の健全育成の総合的な計画の作成

○関係諸機関・団体の連携のあり方とその組織的活動の展開

○保護者や地域住民の相互研修のあり方、また環境浄化の推進

○校外における効果的な指導体制の確立と補導活動の充実

○保護者や地域住民の啓発活動

ところで、本年十月から「福島県青少年健全育成条例」が施行される。この条例では、第二条で基本理念として、「すべての青少年は、社会の成員としての使命と役割を自覚し、現在及び将来の社会及び文化を担うにふさわしい心身ともに健康な社会人として成長するよう、あらゆる生活の場において配慮されなければならない。」

とうたい、そのため

○家庭を構成するものの責務

○学校、職場等の関係者の責務

○地域住民の責務

○県の責務

○市町村の責務

を規定し、また、青少年健全育成施策の大綱を定めている。

この条例の制定を期に、県民あげて青少年健全育成にとりくむと同時に、行政的な面からも、これが充実されることを期待するものである。

しかし、法的規制の有無にかかわらず、青少年を健全に育成することは、父母、教師、地域の責任であり、人間的欲求でもある。そして、学校教育のみが教育のすべてでないということもいうまでもないところである。

愛情と忍耐に裏付けられた大人の教育と指導、住民運動こそ、地域ぐるみの生徒指導を成功させる原動力とならなければならない。

(二) 地域ぐるみの補導活動や研修活動の充実を図るとともに、環境浄化運動の推進にもつとめる。

補導は定期的なものにとどまらず、随時に行い、保護者研修会、体験発表会などを通して、相互研修に努め、更に地域環境の浄化や安全確保にも努めるなどの実際活動を展開することも急がれなければならない。前述の指導体制の確立や強化は、一方では、これらの実際活動を通していっそうたしかなものになる。

すでに、こうした実践例は、月舘・飯野(保護者研修会)大槻(体験発表会)須賀川(関係者懇談会−環境浄化−)などに見られる。

またこのような、地域ごとの諸活動を推進するにあたっては、その地域の各高校、生活指導協議会、公民館などの関係諸機関・団体の継続的な援助と活動の推進力となる活動家の献身的なリーダーシップにまつところが多い。

県教育委員会では、昭和五十三年度から高等学校PTA指導者研修会を県

 

 

 


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