教育福島0031号(1978年(S53)06月)-021page
内六ブロックで開催し、特に地域ぐるみの生徒指導を推進するための研修・研究協議を行うことにしている。
(三) 生徒の体育的、文化的諸活動及び奉仕活動を援助し、健全育成活動の推進を図る。
在学中の生徒に、その個性・能力に応じた、体育的、文化的、生産的な自主的活動を積極的に展開させ、それらを通じて、その主体的な態度や行動を助長し、また、自己の役割と責任を自覚させるなどの社会的経験を得させることは極めてたいせつなことである。(社会教育審議会の健議)
しかし、現実には、小学生はともかく、中・高校生は地域より遊離する傾向があり、また、諸活動を行うための機会と場はじゅうぶんでない。
従って、特に今日では、例えば青少年団体指導者(例、須賀川市教育委員会「シニアリーダー講習会」鹿島町公民館「高校生協議会」)として活動したり、地域社会の奉仕活動に参加するなどボランティアとして進んで地域社会形成の諸活動に貢献できるよう配慮する必要がある。
なお、これらの諸活動を援助するにあたっては、学校は、地域の公民館などの諸機関、団体と密接な連携の上に立って指導にあたらなければならないことはいうまでもない。
五、 非行の予防的な指導の徹底をはかる
(一) 高校生の非行の概況
青少年の非行の増加は「戦後第三のピーク期」といわれるように、全国的全県的に極めて憂慮される状況にある。
昭和五十二年度「少年補導及び保護の状況(福島県警本部防犯少年課)」によれば、年度中に県警で補導した非行少年の総数は三千十三人で前年に比べ四十四人増加している。その特徴的傾向として、刑法犯少年が三年連続増加(一・六%)、中学生高校生の非行の増加、特に高校生の増加、いわゆる遊び型非行の増加、女子少年の性非行の増加(前年比百六十三%増)等があげられている。
学職少年別では、学生生徒が全体の七五・五%を占めている。(前年は全体で六四%、高校生は四六・五%)
ぐ犯不良行為少年の補導件数は、一万八千二百五十三人で前年より六千六百三人減少となっている。これは補導の具体的基準を示したためとなっている。
しかし、喫煙を例にとってみると、補導件数は四千七百二十四名(前年比九・九%減)で前年より減少しているが、潜在的な未成年の喫煙者は増加しているものと考えれば、ぐ犯・不良行為も決して減っているとはいいがたい。
ぐ犯不良行為の中で増加が目立つ項目は無断外泊(三二・二%)、金品持ち出し(一四・三%)、婦女誘惑(二〇%)、不純異性交遊(七・四%-いずれも前年比増)である。この中で学生生徒が全体の六一%を占め、特に高校生が全体の四八・四%を占めていることは深刻な問題であり、その予防指導をいっそう充実しなければならない。
学生・生徒の非行率の推移(刑法犯にかぎる)
年次別
区分43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 小学生 児童数 219,920 213,140 213,140 205,894 196,710 189,756 186,829 183,835 182,282 180,830 補導人員 445 455 523 501 550 577 435 449 487 437 1,000人当たり比 2.0 2.1 2.5 2.4 2.8 3.0 2.3 2.4 2.7 2.4 中学生 生徒数 133,287 128,620 122,771 119,558 114,884 111,408 106,823 103,647 100,396 98,340 指導人員 918 789 850 809 859 879 692 599 708 743 1,000人当たり比 6.9 6.1 6.7 6.8 7.5 7.9 6.5 5.8 7.1 7.6 高校生 生徒数 94,870 92,436 91,214 89,894 94,514 93,641 93,334 93,358 93,670 92,375 補導人員 496 442 593 518 517 470 515 596 819 868 1,000人当たり比 5.2 4.8 6.5 5.8 5.5 5.0 5.5 6.4 8.7 9.4 (少年の補導及び保護の状況) (県警・昭和52年)
(二) 指導と対策
1) 非行の原因の究明
非行などの防止指導にあたっては個々の生徒についての個別的な原因とか多数の非行生徒に共通した一般的原因等にも究明が確実になされる事が必要であるが、その要因は複雑に入り組んでいて単純なものではない。非行に陥りやすい素因のは握、非行性の発現と深化ないしは進展する過程を多面的に理解することが必要である。
生徒が個別的に持っている素質的なもの、環境的なものの中にどのような非行の要因があるかを常に究明したいものである。原因の究明にあたっての主要な観点を挙げると、
ア、 家庭的な障害はないか。
統計の示すとおり、中流、両親健在家庭の生徒の非行率が増加しており、定説になっていた欠損、貧困、多子という家庭が問題であるよりも、家族を中心とした人間関係の中の感情的な緊張−過保護、期待過大、連帯欠如等に非行化の原因を見ることが多くなっている。その他の障害として、兄弟の優劣の比較、立派すぎる両親へのひけ目、後継問題、祖父母のでさ愛、親権喪失、しつけの不一致等があり、生徒が不安定な情感のうっ積から深刻な状態に陥っている場合が少なくない。
教師の生徒へのふだんの接し方が思いやりに満ちていることによって、早期にこれらの障害を発見し、家庭との