教育福島0031号(1978年(S53)06月)-039page

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たりすることが多いので、身体的な細かい検査により、発見はそうむずかしくないので、医師の診断・治療を必要とする。

 

三、 治し方

 

(一) 便所の照明が暗い場合には、明るくしてやり、恐怖心を取り除いてやるようにする。

(ニ) 家族が協力して、夜尿のことを口にしないで、子供の情緒を安定させるようにする。

(三) パンツは毎日洗たくしたものを着用させるようにする。

(四) シーツはふとんの上にビニールを敷いた上に敷き、尿のにおいのしないものを使用する。

(五) 水分の制限をやめるとともに、朝洗面時にコップ二〜三杯の水を飲ませ、排尿をできるだけがまんさせながら、意識的におしっこのたまった感じをつかませる。また、水分の制限をとくことにより、心理的な圧迫を緩和する作用もあることを利用する。

(六) 入眠時における暗示の利用

まず、子供が床に入り、半睡眠でうつらうつらの状態のときに、母親が子供の横にすわる。そして、子供の身体を軽く揺すり、何回か名前を呼んでみる。呼んでも「ウーン」と、半眠半せい状態で、返事をするだけで、目が開かないような状態になったら、そこで母親が暗示を与えるようにする。

暗示の声は、優しい調子のものとすることがたいせつである。

(例一)

「○○ちゃん…○○ちゃんは今、とてもよい気持で眠っていますよ…とてもよい気持で眠っています…おなかの方に気をつけてごらんなさい。(子供のおなか=ぼうこうのあたりに、軽く手をふれてやる)…おなかがあたたかぁ〜い…おなかがあたたかになってきましたよ…おなかがあたたかぁ〜い…おしっこが出たくなるのがわかってきましたよ…おしっこが出たくなると自分ですぐに、はっきりと目がさめて、トイレ(便所)に行けますよ…それまでは、しっかりとがまんできます…がまんできます…おなかがあたたかァ〜くなっているんだから、もうだいじょうぶです…トイレ(便所)にいってくると、また気持ちよく眠れます…」

(例二)

「○○ちゃん…○○ちゃん…○○ちゃんのおなかは、今あたたかぁ−くなっており、よい気持ちですよ…おなかがあたたかぁ〜い…今夜からトイレ(便所)に行きたくなると、すぐに目がさめます…一人で、すぐに目がさめます…目がさめると、トイレ(便所)にいくまでがまんできます…おなかがあたたかぁ〜いからだいじょうぶです…起きてトイレ(便所)にいってくると、また、気持ちよくぐっすりとねむることができます…」

(例三)

「きょうはよくごはんを食べたね…上手に食べられてよかったね…そう、いっぱい食べて大きくなろうね…ねんねんころりよ…おころりよ…今夜から、おしっこがでたくなると目がさめますよ…目がさめたら、ママをおこしてね…そしてトイレ(便所)で、おしっこしょうね…めがさめますよ…またあした、ママといっしょにあそぼうね…今夜から、おしっこがでたくなると目がさめますよ…目がさめたら、ママをおこしてね…そしてトイレ(便所)でおしっこしようね…」

 

別表

(例三)のような暗示を、寝つくまで、根気よく、静かに、優しく続けるとよい。

 

以上、(例一)〜(例三)のような暗示を、寝つくまで、根気よく、静かに、優しく続けるとよい。

(七) 夜尿状態のは握

何時ごろに、失敗したのかの状態をは握するために、別表のような表に、一週間の記録をとり、その表から、おおよその時刻をつかみ、その時刻になる前に子供を起こし、はっきりと目をさまさせてトイレに行かせてやるようにしていただきたい。

なお、朝型の場合は、その時点で完全に起床させてしまうとよい。

(八) 催眠暗示法の利用

催眠暗示法により、尿意と覚せいのむすびつけを条件づける方法がある。

この場合は、催眠療法であるので、面白半分で実施してはならない。必ず催眠療法の理論と技術をマスターしたかたに依頼すべきであろう。

なお、教育センター教育相談部においては、家庭の協力とあいまって、催眠暗示法によって条件づけを実施しているので、遠慮なく相談に来所されることを希望している。

 

四、 昭和五十二年度における相談延べ件数

 

相談延べ件数は、表のとおりであり地域的なアンバランスがあることは、相談したくとも距離的に遠方のために、来所できないためと考えられる。

なお、夜尿症で来所された小学生は六人であったが、すべて治り、現在元気に登校している。

 

 

 


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