教育福島0032号(1978年(S53)07月)-007page

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けてやらなければならない。

しかし、たいせつなことは、学習者自身が学習そのものに興味をもち、自分の力で立ち向かうことである。学習している内容に、学習者の知りたい欲求が満たされ、わかることの喜びを感ずれば、それが、学習意欲の基調となり、学習指導がいきいきと展開するであろう。

 

二、指導目標の明確化と指導内容の精選

 

授業がよく展開され、児童生徒がいきいきと活動するためには、授業の計画が実態に即してしっかり立てられなくてはならない。特に一人一人がよくわかる授業にするためには、児童生徒がよく理解できるよう綿密な計画を立てて臨まなくてはならない。

そのためには、まず指導目標を具体的にし、その目標に即して指導すべき内容を検討していくことである。その際、留意しなければならないことは、各教科の基礎的・基本的な内容を明確にし、そこに中心を置いて教材を精選することである。この指導目標はその後の指導をリードするものであり、その指導の効果を評価する重要な要素となるものである。

 

三、学習指導の個別化と指導法のくふう

 

新しい学習指導要領の趣旨をじゅうぶん生かしてゆとりある授業を展開するためには、目標を明確にし、児童生徒の実態に即して、指導法をくふうしていくことがたいせつであるが、そのポイントとして、学習指導の個別化への配慮があげられるであろう。

従前より学習指導の個別化が叫ばれかなりの実践が行われてきたが、それはどちらかというと、集団の中で一人一人が自分の考えを出し合って自分の考えを深めていくという意味の学習であった。そこではグループ学習などによって学習の個別化の効果をあげていたが、今後は更に一人一人の児童生徒の能力をじゅうぶん理解して、それに応じた指導を、指導目標・内容・方法の上から検討してみる必要があろう。内容の軽減によって生じた余裕を、一人一人の児童生徒の学力の定着に用い、ゆとりをもって学習ができるように意図していくことが、学習指導の個別化への配慮と言えるであろう。

学習の個別化の意図するところは、たしかな学力の個人個人への定着である。基礎的・基本的な内容がしっかりおさえられ、児童生徒のだれしもが、喜んで学習に参加し、自分の力でその内容を学びとってゆく。教師は、一人一人の児童生徒の実態をは握して、問題解決のための援助をする。そういう学習での一人一人の学力は、ある一つの固定した方法によるのではなく、児童生徒の実態に応じて指導方法がくふうされ、生き生きした学習活動が展開されることによって身につくものであろう。

 

国語

 

今後の国語科の改訂の主眼の一つに「言語の教育の立場をいっそう明確にし、表現力、特に文章による表現力を一高める」ということがある。

今年度、小学校、中学校に共通する重点事項として「表現力」の向上をあげているのは、この改訂指導要領の趣旨に沿ったものである。

前回の特集「学習指導の展開(1)(本誌77・6月号)」で「作文の指導の充実」について述べたが、今回も「表現力」に視点をあて、主として、この指導上の留意事項について述べる。

 

一、国語科における「表現」の領域について

 

今回の学習指導要領で新しく設けられた「表現」の領域の指導事項は、下表のようになっている。

小学校は、1〜8までが書くことを通して指導する事項であり、中学校は1〜5までが作文と話すことに共通する指導事項である。更に、6〜8は、作文単独の指導事項である。9〜10は、小、中ともに音声言語による指導事項である。

以上のように、文字言語・音声言語の両面から、表現力を養うための基本的事項を取り上げて構成しているが、特に文章による表現力(作文力)を高めることに重占小がおかれていることがわかる。

 

二、「表現」のねらいについて

 

国語科における「表現」のねらいは、表現することで認識し、思考し、自己を拡充し、高めていくことにある。

更に付け加えると、表現を単に言語の伝達力としてとらえるのではなく、ものとことを主体的に認識し、思考する力、それを通して自己を拡充していく力にすることをねらいとしている。

ベーコンの「読書は完全な人間をつ

 

表 「表現」の領域の指導事項

小学校中学校
1素材
2内容構成
3文章構成
4描写
5語句
6推敲
7視写
8聴写
9朗読
10話し方
1話題・題材
2主題・要旨
3要点
4材料・構成
5語句
6叙術
7表記
8推敲
9発音・朗読
10話し合い

 

 

 


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