教育福島0032号(1978年(S53)07月)-008page

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くり、談話は機転のきく人間をつくり、そして、書くことは正確な人間をつくる。」という言葉と考え合わせてみたい。

 

三、文章表現(特に作文)指導上の留意事項について

 

(一) 書く機会をできるだけ多くする

(1) 知識より実作活動を重視する

文章を書く知識をいくら与えても、文章を書く力にはならない。書く能力は、活動を通して習得されるものであるから、指導にあたって実作活動の機会についてじゅうぶん計画する

(2) 書くことの日常化を図る

気軽に、おっくうがらずに書くことの習慣をつけるようにする。このために、日記、メモ、ノートのとり方、早く書くなどの指導についてくふうする。

(二) 指導目標を精選する

(1) 基礎的事項を取り出す

書く活動に入る前に、必要とする基礎的事項を取り出し、指導目標焦点化の基盤にする。

(2) 目標を焦点化する

単位時間で指導し、習得させようとすることがらを具体的に取り出し、目標を設定する。

(3) 能力に応じた目標を設定する

児童生徒の表現能力の実態を的確にとらえ、これに基づいてどんな能力を身につけさせるのか、そのための内容方法・順序を考慮する。

(4) 活動目的を明確にする

ただ単に書くということでなく、活動を意欲的・主体的にさせるために、なんのために書くのかをわからせることが、きわめて重要である。

(三) 評価と処理を計画的にする

(1) 指導時間に評価する

指導時間内の児童生徒の反応、目標への到達度合、つまずきを早くとらえる。この場合、目標設定段階で評価の観点を明確にする。

(2) 評価の方法を考える

自己評価、相互評価を取り入れ、自己の文章、他人の文章で客観化を図ったり、互いに学び合う方法を多くする。

教師が個人の作品を評価する場合は、前の作品と比較し、表現力の伸び、つまずきの状態を確認する。

(四) 文章を書いていく過程を重視する

(1) 事前の指導を重視する

何をどのように書くのかを、書く前にじゅうぶん指導し、そのために必要な技能を確実に身につけさせる。

(2) 指導過程を考える

文章を書く過程の中に、いつ、どこで、何を、どう指導するのかを位置づけ、それぞれの過程で何を身につけさせるのかを具体化しておくようにする。

(五) 個人差に応じた指導をする

(1) 個人を確実にとらえる

文章を書くことは、高度な思考が要求されるため、個人差が大きくなる。

そこで、個人の能力、意欲の程度のは握が、指導上重要になってくる。これによって、よい面を伸ばし、伸び悩んでいる問題の解決を図る方法を考えるようにする。

(2) 個人指導の多様化を図る

一般的には、学習状況の観察、作品の問題点のチェック、作品に評語を記入するなどが多くとられているが、指導時間の中で、面接する方法を多く取り入れるようにする。

この方法は、指導時間の中で、書くことに抵抗や障害のある児童生徒と教師が一対一で話し合いをする方法である。指導で積極的に取り入れたい方法の一つである。

(六) 教材の精選と活用を図る

(1) 広い角度から教材を選ぶ

教科書教材を活用することは当然であるが、これでじゅうぶんであるという考えをなくすことである。

(2) 教材を考える

○ 児童生徒の経験事実や意識を内容としたものを教材にする。

○ 他人の文章を教材にする。

○ 読むことの内容と関連づけた教材を選ぶようにする。

○ 「写す」教材についてじゅうぶん検討する。

「表現」の領域を通して、人間として生きていく国語力をつけることをめざしているわけであるが、これが達成には、教師の国語指導観、創意、くふうによることが大であることはいうまでもない。

 

算数・数学

 

児童生徒の発達段階に応じて、数学の基礎的な知識、技能を身につけさせ、「数学的な考え方」の育成を図るために、本年度の重点事項(本誌78・2・3月号参照)を設定したが、指導をより効果的にするための具体的な方法と考えられるものをいくつかあげてみよう。

 

一、単元の構成について

 

各単元の内容構成の吟味と取扱いにくふうする必要がある。

教師みずから指導書(文部省)をもとに教科書の内容を直接解きながら、次のようなことを考えよう。

○ 基本的事項は何か

○ 児童生徒はどこでつまずくか

○ 必要な既習事項の習得度はどうか

○ 単元の基本的教材はどれか

○ 基本的教材と他の教材との関係はどうか

○ 重点指導を考慮した時間配当をどうするか など。

具体的な実践の中で、教師一人一人がみずからの努力を通して、現有指導

 

 

 


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