教育福島0032号(1978年(S53)07月)-010page
社会
本年度は、新学習指導要領に基づく教育課程への移行第一年目であり、各学校では、文部省告示及び通達をもとに移行指導計画を作成し、新学習指導要領の趣旨に沿った指導を行うことに努力している。
ところで、「新学習指導要領の趣旨に沿った指導」とは、どのような指導を指すのであろうか。新学習指導要領の目標や内容を理解するだけでなく、それが改訂された理由や、改訂の方針、移行措置に関する告示、通達等を理解することによってその趣旨を正しく受けとめ、現行学習指導要領に基づきながらも、新学習指導要領の趣旨で生かせるものはじゅうぶん生かしていくということであろう。
ここでは、本年度の指導の重点(本誌78・2・3月号)の中から指導計画を主として取り上げ、新学習指導要領の趣旨に沿った計画や学習指導という面から述べてみたい。
一、移行指導計画の作成と検討
(一) 移行指導計画の作成
昭和五十三年度移行措置に関する指導計画については、各校ともすでに作成し(実施しているが、新学習指導要領についての理解がじゅうぶんなされた上での移行指導計画とはいえない部面もあるかも知れない。そのような場合には次の事項に留意して修正し、より充実した指導計画としていきたい。
小学校三年生及び中学校明年度入学生に関する昭和五十四年度以降の指導計画についても、この事項にじゅうぶん留意して作成するようにしたい。
なお、中学校に明年度入学する生徒は、第二学年終了時までに歴史的分野の学習を終えなければならないので、(昭五二・一〇・六文初小第二四1)号通達)内容の省略、軽減には特に配慮することが必要である。
(1) 新学習指導要領の目標、内容を理解する。
(2) 学年や分野の目標を的確にとらえる。
(3) 移行措置における省略、軽減事項をとらえるとともに、省略、軽減された理由を明らかにする。
(4) 地域や児童生徒の実態及び、本年度までの指導の反省に基づく。
(5) 内容の省略、軽減によって生じた時間の配当を適切に行う。
(二) 移行指導計画の検討
本年度の移行指導計画については、現在実施中であるが、実施の過程で反省を行い、記録を集積しておくようにしたい。なぜなら、移行初年度の本年度の計画は、児童生徒の実態に基づいているとはいえ、机上プラン的なところがないとはいえない。特に、小学校においては、内容の省略によって生じた時間の配当等で実施後検討しなければならないことがあると思われる。明年度も省略、軽減事項が同じだからといって、本年度の計画をそのまま用いるのでなく、前述(一)の(1)〜(5)を反省の観点として記録にとどめ、学年会や教科部会等で検討し合うことがたいせつである。
(三) 内容の省略、軽減によって生じた時間の活用
従来、社会科においては「内容が豊富で、多様な学習活動をさせたいができないでいる」という声が多かった。
今回の移行措置で生じた時間を、今までやろうとしてやれなかった次のような学習に充て、児童生徒の活動がじゅうぶん行われるように配慮することがたいせつである。
○ 単元の重点内容とその定着
○ 観察学習、調査、作業学習
○ 資料活用の能力を伸ばす学習
○ 問題解決を図る学習
二、各学年や各分野及び小・中学校の関連
(一) 各学年の関連
各学年の目標及び教材の系統性を明確には握し、各学年の目標に適合する学習が行われるようにする。
小学校低学年では「身近な社会生活を支えている人々の仕事や施設のはたらきに気づかせる」ことをねらっているが、
〇 一年では「自分たちの生活を支えている人々の仕事の様子」
〇 二年では、身近な社会の人々の仕事を「職業としての仕事に携わっている人々の働き」に気づかせる
のように、児童の発達段階を考慮して取り上げ方に違いがある。二年では、職業としての仕事を取り上げることによって仕事に従事する人々の働きの意味をいっそう明確にしようとしているのである。そして、これら低学年での学習を基礎として、三、四年の地域社会に関する学習が展開されるのである。このような学年の系統をは握し、その学年の目標に合致した学習を行うことがたいせつである。
(二) 小・中学校の関連
(1) 小・中学校との関連に考慮した内容の構成に努める。
小学校は小学校、中学校は中学校としての、それぞれの学校段階ごとのまとまりにこだわらず、小・中学校を一貫して考える立場に立って内容を構成する。それゆえ、小学校六年の学習は最高学年としての完結主義をとらないで、中学校の学習への関連づけを図る。
(2) 児童生徒の基礎的能力や問題解決能力を伸ばす指導を継続して行う。
社会科においては、小・中学校とも