教育福島0032号(1978年(S53)07月)-011page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

「みずから考え正しく判断できる力をもつ児童生徒の育成」を期して、観察力、資料活用力、思考力などを伸ばすことに努力しているが、小学校で育成されたこれらの能力を中学校で更に伸ばすよう、じゅうぶんな配慮をするようにしたい。

(三) 各分野の関連

中学校においては、いわゆる地歴並行学習を二年間継続して行い、それらを基礎として公民的分野を学習させることを原則とするが、特に次の点に考慮して指導の充実を図りたい。

(1) 地理、歴史のいずれかに重きを置くというのではなく、第一、第二学年の継続学習により、知識、思考力ともに両者の調和ある発達が図れるようにする。

(2) 地理、歴史の継続学習によって地理的、歴史的な見方や考え方の継続的伸長を図る。

(3) 地理、歴史とも第一、第二学年と学年段階がまたがっていることにより、学習の適時性という観点からの充実した学習を深めるようにする。

(4) 地理、歴史両分野の学習成果が公民的分野の学習へ直接また無理なく発展するようにする。

(5) 分野間の関連、学習の相互補完という観点から内容精選に努める。

 

以上のような諸点に留意し、指導計画及び学習指導のあり方に検討を加え児童生徒の生き生きした学習が展開されることを期待したい。

 

理科

 

今回の学習指導の展開は、指導計画を授業でどのように展開したらよいかに焦点をあて、授業の展開において配慮すべき事項や、留意すべき事項を列挙し、今後の努力点を明らかにしたい。

 

一、新学習指導要領の趣旨の理解

 

小学校理科の目標は「観察・実験などを通して、自然を調べる能力と態度を育てるとともに、自然の事物・現象についての理解を図り、自然を愛する豊かな心情を培う」ことである。中学校理科の目標は「観察・実験などを通して、自然を調べる能力と態度を育てるとともに、自然の事物・現象についての理解を深め、自然と人間とのかかわりについて認識させるを」とである。

理科教育の生命は、観察・実験をより的確に行い、自然を調べる能力や態度の養成にある。特に、能力・態度の養成にあたっては、今までの理科教育に反省のメスをじゅうぶん加え、よりいっそうの充実・発展が望まれる。

さらに、自然を調べる過程を通しまた、自然を調べた結論から、自然の事物・現象についての知識を、児童生徒にしっかり定着させ、生きた知識として活用されるような配慮がなされねばならない。

このような配慮が、常に毎時間の授業でなされ、その積み重ねをしていくうちに、小学校では、自然を愛する豊かな心情が培われるようにならねばならない。中学校では、自然と人間とのかかわりについて、深い認識をさせなければならない。

そのためには、できるだけ多くの機会を設け、自然にふれさせ、児童生徒に直接経験をふませるよう、創意くふうが必要とされる。

 

二、学習指導案の展開

 

(1)、単元設定の理由が明確におさえられる必要がある。この中には、単元に対する指導者の見解、教師の全体計画とその教材との系統的な位置づけ、教材のもつ内容の教育的価値、児童観及び生徒観がふくまれる。

(2)、単元の目標は、教材の特質にたって本質的なものを具体的にかくべきである。特に、能力・態度については意図的に表現するよう努める。

(3)、学習指導計画と時間配当については、単元全体の学習をどのように進めるかの計画・組織であるから、実践・反省の上にたち、現場教師の創意くふうをじゅうぶんに生かす必要がある。

(4)、準備または資料については、非常に重要な要素をもっている。準備品・資料が少なくては、児童生徒の学習活動に不便をきたす。その反面、多過ぎると学習の効率化からみて、焦点が不明確になる。

児童生徒の実態に即した、ち密な学習指導展開案から、最大限学習効果があがる準備品及び資料をそろえる必要がある。

(5)、本時の目標の表現にあたっては、特に、能力・態度を明確におさえる努力がはらわれるべきである。

従来の指導案を見ると、スペースの関係からという理由で、知的理解のみの表記が目だった。そして能力・態度の目標は、指導案のかげにかくれてしまった。このような指導案による理解教育の積み重ねが、知育偏重へ拍車をかけた一要因と考えられないだろうか。

(6)、指導過程は、「…自然を調べる能力・態度を育てる。…」のように組み立てられなければならない。

自然の事物・現象について疑問や問題を解決するために、観察・実験を通して、自然に働きかけることである。以上の自然を調べる活動は、学年によって違った形になって現れる。低学年においては、具体的・直接的活動を通して自然に触れることが主である。中・高学年では、予想をもとに計画的な観察・実験を試みる必要がある。

教師の発問は、じゅうぶんに精選し児童生徒に観察・実験・思考・話

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。