教育福島0032号(1978年(S53)07月)-013page
児童生徒の育成をめざして行われることがたいせつだということであり、音楽教育のすべての過程において、指導の基盤に音楽を愛好する心情を育てるという意識をもつことが重要であるということによるものである。
(二) 音楽活動への興味・関心・意欲を育てる
音楽の学習指導のうえでまず必要で重要なことは、児童生徒の音楽に対する積極的な意欲や態度を育てることである。興味や意欲は学習活動の源泉であり、内面的な心情に関することである。従って、音楽を愛好する心情の育成や情操を高めることにもっとも深く結びついているものである。
学習指導に当たっては音楽的なふんい気の醸成に留意するとともに、音楽に対する児童生徒の感覚的な動きを正しくすばやくとらえて、適時に適切な指導をすることがたいせつである。
(三) 音楽を愛好する心情と音楽性
音楽を愛好する心情を育てるには、具体的な能力、つまり音楽的感覚を基盤とした表現技能や視唱能力、そして音楽的感受性や聴取力を確実に身につけることによって、美しい音楽を味わうことが裏づけられなければならない。
音楽を愛好する心情を育てることと音楽性を培い、高めることとは常に表裏一体で不離のものであることにじゅうぶん留意しなければならない。
二、音楽的感覚を豊かに育てる
各学年の目標は、音楽の美しさや音曲の特質等を感じとらせることが重視されている。もともと音楽は感覚的にとらえるのがあたりまえであって、知識だけの学習や技能訓練に偏重の学習は音楽の学習とはいえないであろう。
「音楽の美しさを感じとらせる…」
「音楽を感覚的にとらえさせる…」ということの意味は、児童生徒の発達段階をふまえ、単なる知識、技能の習得や楽曲の分析的な理解に偏った学習に終始することなく、あくまでも鳴り響いている音楽そのものを、直観的にとらえさせるようにするということである。
歌声を聴いて、自分もいっしょに歌ってみたり、美しい演奏を聴いて思わず体を動かしていたりするのは、子どもの自然な反応であろう。このような姿をたいせつにしながら、音楽そのものの教材を魅力的に提示し、心情を籠り動がして興味や関心を高め、音楽の美しさをいっそう深く感じとらせるよう手段を講じながら、楽しく学習が展開されるように、指導計画に創意をこらし、指導方法をくふうすることがたいせつである。
高等学校
英語
豊かな言語活動をめざす指導
福島県立川俣高等学校教諭
相楽新之助
はじめに
英語教育は「言語活動」と「言語材料」の二本の柱から成り立っている(「教育福島」78・2・3月号)が、特に学習指導要領の高校外国語科総括目標の中に「外国語を理解し表現する能力を養い…」とあることから、いわゆる言語活動を重視する姿勢がうかがえる。
英語教師なら誰でも経験上、生徒は強い自己表現の欲求をもっていることを知っているし、これらを含めた言語活動を、日々の英語の授業のなかでどう豊かなものにしていくかこそ、私たち英語教師の大きな指導目標でなければならない。
以下は、本校の生徒の実態をふまえつつ、英語A、B(工業科はA、普通科は希望によりA、Bいずれかを選択履修)及び英語会話(普通科で三年次に希望により三単位履修)の授業のなかで、技能を伸ばす豊かな言語活動をめざして、どのような指導をしているかを述べたものである。
一、読むことの指導
(一) TranslationからInterpretationへとかくリーダーの指導の型は、「文字の音声化」→「文法的解釈」→"Translation"の画一的なものになりがちなため、私は(三)で述べる伝統的な言語材料の面での指導ののちに、check of understandingの段階で次のことを生徒にやらせている。
1) sense groupをつかむ。
2) key wordsとkey sentencesを段落ごとに抽出する。
3) paragraphごとに要点をつかむ。
4) 文と文との関係をは握する。中心となる主張、記述と、それを言い換えたり、具体例をあげたりする文を識別し、対句にも注意する。
5) 五W一Hを考える。
このような読解作業を通じ、英文を読むということは、書かれている内容をどう理解し、自分の意思をどうそれにかかわらしめていくか、という主体的な解釈行為-Interpretationであるという点に多くの生徒は気づき始めてきているようである。
(二) 速読、多読の指導
教科書教材が本来もっている制約--題材がこまぎれ、常に語い、文法