教育福島0032号(1978年(S53)07月)-015page
5) 教科書教材に関連した英語の歌や演説などを聞くとき
6) 導入時などに教師が時事問題等を話すのを聞くとき
7) 身近な話題について教師と生徒、生徒間でやりとりするときなどであろう。
このうち3)についてはテープ教材だけでは不じゅうぶんで、補充ヒアリングテストを自分で作ってnative speakerに吹き込んでもらっている。この録音作業にあたっては、県教育センターでの英語LL講座における「録音による教材作成の演習」がたいへん役だっている。ヒアリングテストとディクティーションは各課ごとに行うほか、ときどき定期考査でも実施している。4)については福大の二谷先生の本を活用している。5)に関しては、できるだけ多くの資料を収集して聞かせた。たとえば、リーダーにking牧師の”I have a dream”という演説の一部が載ったが、演説全文の実況録音テープを手に入れて聞かせた。余りの迫力に涙を流す女生徒もいた。その他English HourのDisk Jockey大阪ECC学院主催のホノルル市長杯英弁大会の迫力ある録音テープ、前述した副読本”To Live Beyond My Power”の著者自ら吹き込んだテープ、外国人による日本語弁論大会の録音テープ、私自身のメキシコ、アメリカ滞在中のデパートやホテルでの会話や機内アナウンスの録音テープ、時事英語研究のソノパック及びEnglish Journalのテープ(たとえば永井元文相の英語学習についての英語インタビューなど)、映画のサウンドトラック録音テープやアメリカ歴代大統領を初めとする有名人の演説などである。これらは単に聞かせるだけでなく、聞き取った単語や文章をできるだけ多く書き取らせて提出させ、添削した上で返している。
(二) Speakingの指導
SpeechやDebateをめざす指導は通常の授業では余裕がないが、私は、文部省編、高等学校外国語指導資料第一集『英語Aおよび英語Bにおける聞くこと話すことの言語活動の指導』というテキストのなかにある豊富な指導事例を一年分に配分し、導入時に生徒にしゃべらせるようにしている。ただこの指導例は全て教師が質問して生徒が答える形をとっているため、生徒が受身になりがちなので、ある生徒が言ったことを別な生徒に繰り返させること、及び生徒が教師に質問させることを考慮している。評価の視点や基準については研究不足で、今後の課題である。
(三) 音声指導
大部分のテキストは、英語の個々の音、子音連結、語と文の強勢、リズム、イントネーション等について系統的な指導ができるよう編集されているが、さらに正確を期するため、NHKラジオ英語会話講座に載っている音声教材をコピーし、そのときの録音テープを聞かせている。
(四) 英語会話の指導
私は開講初年度と四年目の今年この科目を担当しているが、この授業では口頭による自己表現の機会が多く、スキットを劇化したり、定期考査で外国人(桜の聖母短大助教授)に試験官を委嘱して英語による面接試験を実施するなど、思い切った方策をとったため、生徒からは好評である。
テキストは田崎清忠著Oral English Workshop(学研)を使用しているが、最初に語や文強勢、リズム、イントネーションを学習する導入的な課をもうけたり、外人のよく示すguesturをマンガ風に示したり、またスキットの内容や構成も著者の長年のNHKテレビ英会話講師としての研究成果が取り入れられていてたいへん使い易い。
この授業ではまた、会話表現を学ぶだけでなく、日本人と英語国民との間に存在する文化の型や考え方、風俗習慣のちがい(タテ社会とヨコ社会など)を学ぶことにも力点をおいているので、それらは英語AやBの授業にも役だっている。(詳細は県教研英語部会の研究集録第十四号に拙稿が載っている。)
四、教科書外指導
(一) 修学旅行の直前指導で全二年生に「大いに外人と話そう」と呼びかけ、帰福後提出させた体験報告書を更紙十四枚分にまとめて全二年生に配布した。対話形式で話した通りに書くよう求め、外人からもらった名刺やいっしょに撮った写真も印刷したため、思い出多い生きた教材となった。
(二) 海外文通クラブを中心に外国人高校生との文通を呼びかけ、添削を含めて指導している。約七〇名が文通中。
(三) 実用英語検定二次試験のための模擬面接試験を実施。「先生もいっしょにがんばるから」として一級合格を私の目標にしている。生徒とともに受験し二級に合格した理科の先生もいて、生徒は大いに鼓舞されている。
(四) 英語を勉強しようとしている社会人の努力の様子を扱った、NHK番組サラリーマンライフ「語学修業」の録音テープや、雑誌「実業の日本」の『サラリーマンの英語』という特集記事は生徒に新鮮な刺激を与えた。
あとがき
豊かな言語活動を土台に強力な受験指導がなされれば、英語に関する限り、大学入試でも高得点が期待できると思う。一昨年三年担任のとき、普通科三年全担任が課外を担当する体制のもとで、国公立十、私立三十八という本校初の大学入試現役合格者を出したが、英語の指導もこの好結果にじゅうぶん貢献したと思われるからである。
昨年夏、県北地区高校JRCのトレセン(集団訓練)にアメリカから高校生の人を招いて共に生活させたところ、それがきっかけで生徒たちの間からESS結成の気運が盛り上がり、指導者協議会や日赤県支部とも協議の上近く発会する予定である。赤十字活動と語学研修を結びつけた赤十字語学奉仕団