教育福島0032号(1978年(S53)07月)-018page
の場における指導方法の向上を図る必要があるとされ、それには教材・教具の改善、学習指導の評価の研究など、積極的に推進しなければならないと。」としている。
ここに述べられた趣旨にそうものとして、次に三つの指導事例を紹介し、現場の先生がたの参考にいたしたいと存じます。
「化学工業1)」学習指導
-OHPの利用-
福島県立福島工業高等学校教諭
佐原四郎
一、教育機器利用による学習
教授・学習活動を有効に進めるとき考えられるのが教育機器の活用であり、とりわけ、もっとも手軽なものがOHP利用による授業の展開である。もちろん、わかってはいても、いざ使用する段になるとおっくうになり、また、利用法に対する勉強不足や研究不足さらに準備のための時間不足などの問題はあるが、一度使用してみると生徒一人一人に生気が感じられて意外に楽しい授業の展開が期待できる。たとえば、「化学工業ILの原子構造・化学結合(イオン結合と共有結合)・基本物質の構造式(とくに有機化学分野)などの指導においては、より効果的であるという感触を得ている。」
二、OHP使用に際しての留意点
つぎに、OHP使用に際してとくに注意している点をあげてみる。
1、生徒と対話する形をとり板書の場合を除いては生徒に背を向けない。
2、ときには発問により生徒にも使用させて興味をもたせるように配慮する。
3、ノートさせるための時間的配慮をする。すなわち、ややもすると講義の進度が早くなりがちなので、生徒の反応を見ながらゆっくり進めていく。
4、マンネリ化しないようにするため色彩や小道具のくふうに心がけ生徒の関心をそそるようにする。
三、使用する小道具
つぎに、前述した原子構造・化学結合・構造式などの指導に際して使用する小道具のなかから二、三の例をあげてみる。(例図1)
1、原子または電子を示すには、一円硬貨または着色セロファンシートを一円硬貨大に切り抜いたものを用いる。
2、原子価標を示すときは、マッチ棒か割りばしを短く切ったものを用いる。
3、原子や電子の位置とか移動関係を示すとき、あるいは要点を示すときは、着色セロファンシートを矢羽型に切ったものとかTPを矢羽型に切って色を塗ったものを用いる。
一円硬貨はときには原子、ときには電子として、また、マッチ棒は原子価方向や原子価標として利用でき、しかも手で取ったりのせたりすることが簡単なので説明にはとても便利である。
四、効果的なパタン表示とパタン作成上の留意点について
1、なるべく生徒の目にわかりやすく映ずるようにするため、単純化(例えば線画・略号・記号)を図る。
2、アンダーライン・かこみ・大文字などによりコントラスト化・立体化・識別化する。すなわち、アンダーラインを引いたり文字を太くしたりして目的のパタンをはっきりと生徒の目に映るようにする。
3、白黒よりも色彩を用いて情報量を多くし識別しやすいようにすると効果的である。しかし、色の種類が多いと生徒にとっては煩わしいのでせいぜい三〜四色程度にするよう心がけている。(例図2)
例図1
例図2
五、パタン提示の方法について
さて、パタン提示は授業の中核となるものであり生徒たちの学習を効果的にするために肝要なことであるから、そのテクニックについてはじゅうぶんな研究が必要である。そこで、提示法や留意点について述べてみる。
1、パタンはそれ自体を単独で用いるよりは説明と併用した方がより郊果的ではないかと考えられる。たとえば、ふつうのオーソドックスな進め方からいった