教育福島0032号(1978年(S53)07月)-019page
ん先行し、結論を出しておいてから逆戻りするというような方法を取ると生徒の学習活動を刺激するにはより効果的である。
2、論理的な展開や誘導にあたっては生徒たちの思考の流れを滑らかにしてやる必要があり、そのためにはいきなり結論的なパタンを提示するような方法でなく基本的パタンから順序よく提示を重ねていくようにする。
3、とくに生徒の注意を喚起したいところは、わざと間違ったパタンを提示して思考の流れを中断させるような配慮をするのも効果的である。
4、しめくくりなどには、はじめに提示した問題のパタンを再提示して結論づけたりすることも生徒の理解を定着させる上で効果がある。
六、むすび
「化学工業1)」学習の一つの試みとしてOHP使用による授業の展開についてきわめて簡単にのべてみたが、板書・OHPと併用し生徒の反応をみたり緊張の緩和をはかりながらうまく展開していくと、生徒たちにも生気が感じられることは確かなようである。現在の生徒たちは電波メディアの中で育ってきたための特性をもっており、そのような心理的背景に留意して研究くふうを重ねていけば、心の通った教授・学習活動が期待できるのではないかと考える。
思考力を育てる電気実習と座学との関連をはかった指導事例
福島県立喜多方工業高等学校教諭
五十嵐房吉
一、転換法の説明
中学校で教えられている図形に関する転換法の論理の例題について、ベン図を使用し、命題の仮定と結論を説明する。(OHPを使用する)つぎに数学Iで取り扱われる内含命題と同値命題との関連を説明する。(表1)
二、ホィートストンブリッジの実験
図1は組み立て式ホィートストンブリッジを示す。抵抗Xは被測抵抗、抵抗P・Q・Rは精密級可変抵抗(最大10KΩ)である。直流検流計Gの極性は、図のように正しく接続する。点Dを接地してD点の電位を零を(V)とする。点Dで接断して。二つの電圧降VAD・VBDを考える。
図1 組立式ブリッジ
転換法の論理を使用したブリッジの平衡のとり方をつぎに記載する。(次頁A、Bの順)
(8)(9)の操作形式は、検流計の極性と一致するのが特長であって、行動の単純化を意味し、原理さえ理解すれば、右往左往しなくとも、一直線にブリッジを平衡させることができる。つぎに未知抵抗Xには図2の合成抵抗のパネル板を自作し、特に能力の劣る生徒については、各種抵抗の接続方法と合成抵抗の求め方を徹底的に理解させるようにした。
図2 合成抵抗の測定
三、指導の反省
最も基本的なテーマを選んで、高校数学との関連についてふれ、論理的な実験指導法について説明したが、各教科書にも検流計電流IGの流れる電流の方向および合成抵抗の求め方については問いとしても取り上げられて
表1 内含命題と同値命題の関連