教育福島0032号(1978年(S53)07月)-020page

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、各種ディジタル回路などの実習指導の有力な手段として用いることができる。

 

、各種ディジタル回路などの実習指導の有力な手段として用いることができる。

 

いるし、電気工学1)の指導とあわせ、本実験の結果より、やる気のある生徒については、実習だけでなく、数学や物理などの一般教科の実力向上にも効果がみられた。この平衡のとり方は、直流電位差計や、高学年におけるフィードバック形の自動制御系や、各種ディジタル回路などの実習指導の有力な手段として用いることができる。

一方能力の劣る生徒には、従来通りの平衡のとり方で進み、特に座学で困難であった合成抵抗の求め方が理解できて効果をあげることができた。これも一人一台の自作セットで実習を試みた結果からだと思われる。

なお、自作セットでの実習が終わりしだいに、POボックス、精密級ホィートストンブリッジを時間に余裕のある生徒に行わせたが、同様にして短時間に習得できた。紙面の都合で評価の結果をあげることができなかったが、今後とも基礎実習と座学との関連を研究して、いきたいと考えている。

 

養護教育

 

はじめに

今年は、養護教育百年の年であり、明年度からは、養護学校教育が義務制となる。このときにあたり、教育のあり方を基礎的な部分から見なおしてみるのも意味のあることだろう。ここにとりあげた内容は、学習指導に関する最も基本的な考えで、障害の有無に関係なく人間の生命活動を考える上で要となる洞察である。日々の指導の反省、点検の参考に資することを願って掲げてみた。

 

一、「障害」について

 

盲人の歩く姿を見て、ぶかっこうだと言った者がいる。夜間、突然の停電事故が起きた際、隣りのへやまで懐中電灯を取りに行くときの己の姿を想像してみるとよい。そこでは、ぶかっこうだと言った盲人の歩く姿と同じかっこうをしているはずである。つまり、同一種の個体にとって、ある特定状況におけるふるまいは、生命活動の調整の程度がその生体にとって類似の水準に依拠した行動体制の発現となるため、行動特性は共通のものとなる。

ぎこちない歩き方といっても、さまざまな状況が含まれる。原因ごとに見るならば、脳性まひ、泥酔・真暗闇・弱視・準盲・全盲などがある。泥酔した人に懐中電灯を持たせても、ふらつきはなおらない。盲人に理学療法士による機能訓練を行っても、ぎこちない歩き方は改善されない。ぎこちない点で共通の行動特性をもっていても、障害状況が異なるため、それぞれに対処のし方も違わなければならないことがわかる。また、生命活動の展開におけるぎこちなさは、とどこおり、つまづき、とまどいなどの形で観察される。したがって、むずかる子共を相手にして、オロオロしたり、どなりののしったりする場合も障害状況にあることになる。つまり、障害は子供の側だけにあるのではなく、その意味では、教育的かかわりあいとは、教師・子供ともどもに障害状況にあることをさす。

 

二、ある盲児の通学拒否

 

(一) 対象児について(表1参照)

(二) コトバの治療教室での学習状況

コトバの治療教室では、主に小児まひ児の構音障害を扱っていて、盲児はT・Nひとりであった。T・Nに対する教育は、母の話では次のような内容だったらしい。ラッパ吹き、発声している教師の口をさわらせる、人形やアメ玉や水のはいったコップにさわらせ、「ニンギョウ」、「マンマ」、「ブチャ」と何回も言い添え、その物をいったん取り

 

 

 


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