教育福島0032号(1978年(S53)07月)-030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

はじめに

 

はじめに

 

地層の単元は、露出している地層の現場を見つけることからスタートし、児童の興味・関心を持続させ、かつ、科学的な推論と検証によって確かめていくような学習でありたい。しかしながら、教材研究の不足、現場発見の困難さから、教師の話やスライドなどにたよって納得させる学習になって、児童の考えに基づく探究学習の成果をあげ得ないで終ってしまうことが多い。そこで、観察に適した現場を見つけ、児童が地域の地層学習で得た疑問を、児童自身に検証の方法を考案させていくような学習指導をくふうしたいと考え、次のような指導のねらいを設定した。

 

一、指導のねらい

 

(一) 地層の学習内容を分析し、児童の興味・関心が持続できる単元構成をする。

(二) 探究学習の中で、予想・仮説・検証の段階を重視した指導をする。

(三) 一単位時間ごとに自己評価を行わせ、小単元ごとに印象の深かったこと、次時に調べたいことを記録させる。

 

二、指導の実際

 

(一) 実施学年 五年生(二十七名)

(二) 単元名 地層

(三) 単元設定のねらい。

自分たちの郷土の地層を調べることによって、それぞれの地層がたい積したころの環境や現在までの移り変わりを推論させることは、児童の興味・関心を呼びおこすばかりでなく、現在の姿を手がかりに、過去のでき事を推論するような科学的な見方。

考え方を養うことができると思う。

更に、地層のモデル化を行うことにより、成因の疑問を解く検証のための実験装置の製作の必要性をとらえさせ、単純化した実験で、地層の成因には流水のはたらきが大きな要因を持っていることを確かめさせたい。

(四) 指導計画と養いたい科学的能力の位置づけ 〈表1〉

(五) 単元の構成〈図1〉

(六) 指導過程(一部の例)第二次4/5時〈図2〉

(七) 自己評価例と教師による科学的思一考力の評価〈写真〉

(八) 授業後の児童の感想

1)川の水の流れで上砂がけずられ下流に運ばれることが確かめられた。

2)最後の水そうのところでは、水がにごり、しばらくすると水が澄み地層ができた。

3)自分たちが実験装置を作ってやったので、失敗もしたけど楽しかった。

 

三、指導後の考察

 

指導の第一時で、地下の様子について予想図を描かせ、全体で討論させた。自分の説を主張する者、他の予想図を見て感心する者と、いやがうえにも興味がつのってきたことは事実である。

この興味の高まりを持続させるために、現場でじゅうぶんに観察させ、地層ができる要因となるのは何かについて採集物を手がかりに仮説を設定させた。

予想から仮説への過程では、水の働き、火山や地震の働き、風の働きの三つの説に分かれたが、先行経験から考

 

表1 指導計画と養いたい科学的能力の位置づけ

表1 指導計画と養いたい科学的能力の位置づけ

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。