教育福島0032号(1978年(S53)07月)-033page
を重点的に実施している。現在八十名の青年をヨーロッパを中心に派遣しているところである。また外国青年の受け入れ事業についても、ヨーロッパ及びアメリカを中心に毎年受け入れ、地元青年との国際交流事業として推進している。本年度は西ドイツから二十八名の青年が十月に来市の予定である。
(三) 政治・経済学習活動
政治・経済の現状を認識させるとともに公正な判断と批判のでき得る青年を培うため、それぞれの学者・専門家を招へいし開設しているところである。参考までに実施した学習内容について記述すると次のとおりである。
分野 学習テーマ 講師 科学 日本の生きる道 筑波大学副学長福田信之 政治 現代政治について 東京大学教授衛藤瀋吉 教育 現代における教育の諸問題 文教大学学長小尾乕雄 軍事 世界の軍事と我国の防衛 軍事評論家桃井真 政治 現代社会と政治意識 東北大学教授塚本哲人 社会政策 日本の社会政策 福島大学教授相沢与一 政治 我国における政治構造 独協大学教授白鳥令 経済 我国の経済政策 福島大学教授篠筒憲爾 〃 日本経済今後の課題 千葉大学教授伊藤光晴 政治 日本に於ける保守と革新 独協大学教授白鳥令 〃 日本政治の課題 NHK解説委員岡村和夫 経済 日本の社会・日本の経済風土 千葉大学教授伊藤光晴 政治 住民自治について 法政大学教授松下圭一 〃 現代政治イデオロギー 東京外語大学助教授志水速雄 経済 経済のゆくえ(円高とは) 千葉大学教授伊藤光晴
(四) 情操を高めるための文化学習活動
失われゆく郷土に伝わる郷土芸能を青年の手で伝承していくため、毎年二月に青年芸能祭を開催している。また優れた中央の芸術を鑑賞させ青年の情操を高めるとともに文化意識を向上させるため勤労青少年の日(毎年七月の第三土曜日)を中心に開催しているところである。
(五) 公徳心高揚運動の実践活動
当二本松市は公徳心高揚運動宣言都市として本年度九年目を迎えた。
市民各層にこの運動は定着はしているが更に充実した運動を展開するため青年団体を中心に次に掲げるテーマをひとつの目標に実践活動を行っている。
1)「ありがとうといわれるようにいうように」
2)「小さな親切で大きな喜びをえよう」
3)「美しい環境をつくろう」
青年政治・経済ゼミナール
四、青年団体の育成
青年団体は従来青年会がその主流をなしてきたところであり、青年団体といえば青年会といった時代もあった。今日青年団体も時代の変化に伴い多くの団体が組織されてきており、当二本松市にあっても前述したとおり、昭和四十六年度において建設された文化センターの発足以来、施設を拠点として各種の青年団体・グループサークルの組織化が進み、それぞれの目的に向って活動がなされている。
青年人口が少ない当市にあっては、各団体の事業競合が激しく、会員獲得などと合せ、種々の問題が派生したため、団体相互の連絡調整の必要を団体自身が認識し、青年教育の一環として昭和五十年度に二本松市青少年団体連絡協議会を組織化し、各団体の連絡調整と事業遂行上の相互補完の機能を果たしている。特に当市における青年教育に関する諸事業及び青年団体育成指導においては、それぞれの個々団体・会員との直接の交渉はあるが、市青少年団体連絡協議会を通して施策の遂行を図っている。
なお連絡協議会は加盟団体より役員を送り、月一回各団体から持ち寄った種々の事業計画等を協議し、決定するシステムになっており、社会教育行政に果たしている役割は非常に大きいといえよう。
五、終わりに
青年にとって必要なことは、地域にとって彼らがどのような役割を持つベきなのかであり、単に個人でそれらを具現化することはむずかしいことである。
青年交歓の一コマ
これらの解決はやはり団体という集団の中でのみ具現化できることであろうし、団体活動が活発化すればするほど、個々の青年自身が社会活動の必要性を認識し、生きがいを見いだすことであろう。当市の青年教育の主眼は各種学級講座の開設と合せ、団体活動の中核となるべき指導者の育成を図っていきたい。現代のように複雑・多様化している社会にあっては、青年みずからが集団の中でお互いの連帯意識を深め、よりよい社会活動ができ得る条件を整備することが、社会教育行政に課せられた役割であり、今後とも青年に期待される行政を遂行していきたい。